COP28、「気候と健康宣言」に120カ国以上が賛同

12月2日、COP28議長国は、世界保健機関(WHO)と共同で、増大する気候の影響から人々の健康を守るための行動を加速させるため、新たに「気候・健康に関するCOP28 UAE宣言」を発表した。この宣言は、COP28開幕のために世界の指導者が集まった世界気候行動サミットで発表された。

123カ国が署名した本宣言は、COPで初めて開催される「保健の日」の1日前に発表された。大気汚染による年間死亡者数が約900万人に達し、毎年1億8900万人が異常気象にさらされているなかで、猛暑・大気汚染・感染症など気候に関連する健康への影響に対処するため、政府が地域社会を保護し、医療システムを準備する必要性を認める世界初の出来事である。

本宣言は、気候変動と保健の結びつきにおける様々な行動分野を網羅しており、気候変動に強い保健システムの構築、排出削減と気候変動対策による保健上の利益を最大化するための分野横断的な協力の強化、気候変動と保健の解決に向けた資金の増加などが含まれる。また署名国は、今後のCOPを含め、各国の気候変動計画に保健衛生の目標を盛り込み、気候変動による健康リスクに対処するための国際協力を強化することを約束した。

また、宣言の成功には資金が重要な原動力となることも認識されている。そのため、COP28議長国は、世界エイズ・結核・マラリア対策基金、緑の気候基金、ロックフェラー財団、世界保健機関(WHO)とともに、気候変動と保健のための資金を強化し、新たな追加資金を動員し、変革的プロジェクトや新しいマルチセクター・アプローチによるイノベーションを促進するための10原則を発表した。この「気候・保健ソリューションへの資金提供のための指導原則」 は、40を超える資金提供パートナーおよび市民社会組織の賛同を得ている。

また、政府、開発銀行、多国間機関、慈善団体、NGOを含む幅広いステークホルダーは投資の拡大を歓迎し、合計で10億米ドル(約1,500億円)を拠出することを約束した。

【参照ページ】
(原文)Over 120 countries back COP28 UAE Climate and Health Declaration delivering breakthrough moment for health in climate talks
(日本語参考訳)COP28、「気候と健康宣言」に120カ国以上が賛同

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