7月25日、世界的なプロフェッショナル・サービス企業デロイトが発表した新しい調査によると、自認する高所得者の半数近くが、より持続可能な企業への転職を検討していると回答したのに対し、低所得者では13%にとどまった。本調査では、気候変動に対する考え方は各グループでほぼ同じであるにもかかわらず、サステナビリティに焦点を当てた消費や政治的行動には、所得区分によって同様のギャップがあることがわかった。
デロイトは、「経済の不確実性が持続可能な行動変容に圧力をかける」という調査のために、2021年から2023年にかけて実施された調査の結果を照合した。本調査には、2023年3月に24カ国の24,000人の回答者を対象に、家庭、職場、地域社会における持続可能性に関連する行動に焦点を当てた調査も含まれている。
調査結果によると、回答者の3分の2以上が「気候変動は緊急事態である」と答えており、その割合は調査期間中比較的一定であった。しかし、エネルギー危機、インフレ、失業など複数の経済的ショックが家計に影響を与えたため、気候変動に対処するための個人的行動の変化に関する回答は最近減少しており、2021年9月の65%から2023年3月には54%に減少している。
本調査の重要な発見のひとつは、様々な所得区分の回答者間で、サステナビリティへの関心や価値観に基づいて行動する意欲や能力が異なることである。例えば、2023年の調査では、高所得者、中所得者、低所得者の回答者の同程度の割合が、気候変動は緊急事態であると思うと回答した(高所得者72%、中所得者68%、低所得者65%)一方で、高所得者の回答者の59%が、持続可能な製品を常に、またはしばしば選ぶと回答したのに対し、低所得者では42%、中所得者では44%にとどまった。
低所得者の53%が持続可能な製品購入の主な障壁としてコストを挙げているのに対し、高所得者ではわずか32%であった。同様に、高所得の回答者の約25%が再生可能エネルギーで電力を供給していると答えており、これは低・中所得の回答者の約2倍であった。
高所得層の46%が、より持続可能な企業への転職を検討したことがあると回答しており、これは中所得層(20%)の2倍以上、低所得層(13%)の3倍以上である。今回の調査結果は、高所得者層の方がサステナビリティに関連した職場満足度がはるかに高いにもかかわらず得られたもので、雇用主が気候変動に十分取り組んでいることに63%が同意しているのに対し、低所得者層では同意しているのは23%に過ぎなかった。
また、高所得者層ほど、サステナビリティに関連する政治的・市民的プロセスに関与する傾向が強いこともわかった。気候変動問題について公務員と連絡を取ったことがないと回答した低所得者層は25%であったのに対し、高所得者層ではわずか11%であった。
【参照ページ】
(原文)Economic uncertainty puts pressure on sustainable behavior change
(日本語参考訳)デロイト:高収入労働者の半数近くが、より持続可能な企業への転職を検討