5月11日、パリに本拠を置くグローバル銀行BNP Paribasは、今年初めに発表した化石燃料への融資活動を縮小する方針を強化し、新規石油・ガス田への直接融資を終了することを発表した。
この動きにより、BNP Paribasは、2022年12月にHSBCが同様の方針を発表したのに続き、新規の石油・ガスプロジェクト融資からの撤退を約束する2番目に大きなグローバル銀行となった。責任投資NGOのShareActionは、BNP Paribasの化石燃料への融資活動について同社に働きかけてきたが、今回の発表により、欧州の主要な同業他社がこれに続くよう圧力をかけることになると述べている。
BNP Paribasは2023年1月に一連の新しいエネルギー融資方針を発表し、2030年までに石油採掘・生産への融資を80%以上、ガス採掘・生産への融資を30%以上削減し、その日までにエネルギー融資活動の80%を低炭素エネルギーの生産へも移行することを約束したことを含む。
しかし、新方針の発表後、BNP Paribasは、新たな石油・ガスプロジェクトへの融資継続に門戸を開いたことから、大きなプレッシャーを受けることになった。BNP Paribasは、ShareActionが主導し、1.5兆ドル(約201兆円)以上の資産を持つ投資家が参加するキャンペーンにおいて、欧州の大手銀行の1つとして、今年中に新規石油・ガス田への融資を終了することを約束するよう求めており、2月にはフランスのNGOグループから新規石油・ガスプロジェクトへの融資に関しても提訴された。
今回発表された最新の方針では、石油とガスについてそれぞれ80%、30%の融資削減目標は維持されているが、”融資方法にかかわらず、新規油田・ガス田の開発専用の融資を今後一切行わない “というコミットメントが含まれている。
また、今回発表されたBNP Paribasの2023年気候報告書には、炭素集約型部門への融資に関する一連の2030年脱炭素化中間目標が盛り込まれており、鉄鋼部門の排出強度25%削減、アルミニウムの排出強度10%削減、セメントの排出強度24%削減へのコミットメントが含まれている。同行は昨年、石油・ガス、発電、自動車の各分野で目標を設定している。
ShareActionは、同行の方針更新を称賛する一方、”新たな石油・ガス活動への間接的な融資 “を可能にする方針のギャップについて、BNP Paribasと引き続き協議していくとしている。
【参照ページ】
(原文)BNP Paribas details and strengthens its energy transition ambitions
(日本語参考訳)BNPパリバ、エネルギー転換の野望を詳述・強化