3月31日、大手建材メーカーHolcimは、2030年までに炭素回収技術に20億スイスフラン(約3,196億円)を投資し、年間500万トン以上のCO2を回収することを約束する新たな公約を発表した。
新たなコミットメントは、Holcimの2023年気候報告書の発表と同時に発表されたもの。セメント原料1トンあたりのスコープ1排出量を2030年までに22%以上削減し、従来の475kgから420kgに引き上げるという目標も含まれている。同社は、2030年の目標は1.5℃の枠組みに沿ったもので、Science Based Targets initiative(SBTi)により検証されたと述べている。Holcimは、SBTiの「1.5℃へのビジネス・アンビション」誓約に署名した最初のグローバル建材企業であり、2020年に参加した。
建材は、世界の温室効果ガス排出の主要な原因となっている。コンクリートの材料であるセメント生産は、世界の二酸化炭素排出量の約8%を占めており、材料1000kgを生産するごとに900kg以上の二酸化炭素が発生する。
同社は、気候目標を達成するための取り組みとして、製品配合における脱炭素素材の展開、代替・再生可能エネルギーの活用拡大、低炭素建築ソリューションのスケールアップなどを概説した。
気候変動報告書の中で、Holcimは、セメント製造から直接排出されるCO2が、大規模な代替が不可能な原材料から排出されることから、炭素回収利用貯蔵(CCUS)を開発し、セメント製造工程に組み込むことの重要性を強調している。同社によると、CCUSプロジェクトは、工場から排出されるCO2を低排出量のセメント原料にリサイクルするものから、農業や航空燃料を含む用途まで多岐にわたるという。
また、Holcimは、2022年に売上高あたりのCO2を21%削減し、2023年には10%以上の削減を約束したこと、680万トンの建設・解体廃棄物を新しい建築ソリューションにリサイクルし、1000万トンの2025年目標を上回る軌道に乗ったことを明らかにした。
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(原文)HOLCIM ACCELERATES CLIMATE ACTION