6月16日、 Equileap(エクイリープ)は笹川平和財団より男女平等データ&インサイトの提供を受け、企業評価と職場における男女平等に関する報告書を発行した。アジア太平洋(APAC)の主要先進国であるオーストラリア、中国(香港)、日本、ニュージーランド、シンガポールの5カ国を対象としている。
本報告書は、アジア太平洋地域のビジネスにおける男女共同参画の現状を報告するものである。本報告書では、地域全体のビジネスにおける男女平等の現状を報告し、市場やセクターごとに、同一賃金やあらゆる階層での女性登用といった具体的な問題について、重要な洞察を示している。
また、有給育児休暇やセクシャルハラスメント対策などの具体的な課題についても、市場やセクターごとに主要な見解を示している。本調査では、5つの市場において1,181社(従業員数2,300万人)を対象に、男女平等について19の詳細な基準で調査している。
ジェンダーバランスに関する調査結果は以下の通り。
・APACでは、CEOの4%、取締役会会長の5%が女性であるなど、企業のトップに立つ女性が不足している。シンガポールは、CEOの14%、CFOの26%が女性であり、上級職における女性の割合が高いことが特徴的で、日本では、CEOのうち女性は1%未満である。
・APACでは、取締役会の17%、経営幹部の13%、上級管理職の19%、労働者の35%が女性であり、どのレベルにおいてもジェンダーバランスにはまだ程遠い状況である。
・4つの企業レベルすべてでバランスがとれているのは、ニュージーランドのXero(ゼロ)と香港のHang Seng(ハンセン)銀行だけである。
ペイ・ギャップとセクシャル・ハラスメントに関する調査結果は以下の通り。
・APACの91%の企業が、男女の賃金格差に関する情報を一切開示していない。
・男女間の賃金格差を解消した企業は、オイルサーチ(オーストラリア)、リオ・ティント(オーストラリア)、チャイナガス(香港)の3社のみで、男女間の賃金格差はわずか4%の企業が格差是正のための戦略を持っている。
・MeTooから5年、APACの57%の企業がセクハラ防止策を公表していない。ポリシーを公表している企業の割合は 日本(52%)、オーストラリア(50%)。シンガポール(26%)、ニュージーランド(22%)、香港(19%)である。
金融セクターに関しては、オーストラリアの金融会社5社が男女平等のスコアを60%以上とするなど、トップパフォーマーも存在する。しかし、この業界には女性の昇進を阻む多くの障害があり、APAC地域のこの分野の企業の平均スコアは36%で、世界の金融分野の平均である38%をわずかに下回っているのが概観される。平等性に影響を与える要因としては、一般的に長時間労働が多く、家庭生活を営みにくいことである。このため、従業員の50%が女性だが、比率は上級職になると急激に下がる。
【参照ページ】
Asia Pacific region hosts the best and worst performers in the world for gender equality at work