エアバスとキャセイ、最大7,000万ドルを共同出資アジア発の持続可能航空燃料(SAF)普及を加速へ

10月21日、欧州航空機大手エアバスと香港のキャセイ・グループ(Cathay)はアジアおよび世界における持続可能航空燃料(SAF)生産の拡大を目的とした共同出資パートナーシップを締結した。総額最大7,000万米ドル(約105億円)を投じ、2030年以降の燃料供給体制の拡充を図る。

この取り組みは香港で開催された国際航空運送協会(IATA)の「ワールド・サステナビリティ・シンポジウム」に合わせて発表されたもので、キャセイのアレックス・マクゴーワン最高執行・サービス責任者と、エアバスのアジア太平洋社長アナンド・スタンリー氏が署名した。

両社は今後、技術成熟度や商業性、長期供給契約の可能性などを基準に、アジアや世界各地のSAF関連プロジェクトへの投資候補を選定する。政策立案者・投資家から燃料製造事業者・航空会社まで、サプライチェーン全体の連携を促進する構えだ。

マクゴーワン氏は「SAFは航空業界の脱炭素化に向けた最重要手段だ。今回の協働は業界全体のスケールアップを支える」と強調。スタンリー氏も「アフォーダブルなSAFを大量生産するには、前例のない産業横断の協力が必要だ」と述べた。

また、両社はアジア各国でSAFの調達・使用を後押しする政策整備にも共同で取り組む方針。地域内の豊富な原料資源や生産能力を活かし、世界的な脱炭素航空燃料市場の形成を目指す。

キャセイとエアバスの提携は1989年の同社初の機体発注に始まり、現在キャセイ・グループはエアバス機86機を保有、70機以上を追加発注している。今回の共同投資は、その長年の連携関係をさらに戦略的に発展させるものとなる。

(原文)Airbus and Cathay form co-investment partnership for scaling sustainable aviation fuel adoption

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