
10月21日、欧州委員会は、EU森林破壊規制(EUDR)の円滑な実施を確保するため、企業・加盟国・第三国を支援する新たな対策を提案した。提案の柱は、ITシステムの強化と、中小規模事業者への報告義務の簡素化である。
EUDRは、EU市場で取引される主要農林製品が森林破壊や劣化に関与しないようにすることを目的とする重要なサステナビリティ政策だ。今回の改正案では、供給網の下流に位置する事業者や商社が、重複してデューデリジェンス(適正手続)報告書を提出する必要をなくし、最初に市場へ製品を投入する事業者のみが提出すれば全体をカバーできる仕組みとした。
また、低リスク国からの零細・小規模の一次生産者は、一度の簡易申告で済むように変更される。既に加盟国のデータベースに情報が登録されている場合は、システム上で追加の行動は不要となる。この措置により、企業の事務負担は約3割削減される見込みだ。
さらに、ITシステムの負荷増大を踏まえ、移行期間が設定された。中・大規模企業は2025年12月30日から適用されるが、6か月の猶予期間が設けられる。小規模企業の適用開始は2026年12月30日となる。
欧州委員会は、欧州議会と理事会に対し、2025年末までにこの改正案を迅速に採択するよう求めている。EUDRは気候変動と生物多様性損失という二大環境課題への対策として、森林破壊を止める中心的政策であり、その実施体制の確立が急がれている。
(原文)Commission proposes targeted measures to ensure the timely implementation of EU Deforestation Regulation
(日本語参考訳)欧州委員会は、EU森林伐採規制の適時実施を確保するための的を絞った措置を提案
















