
9月23日、スウェーデンのグリーンスチール企業Stegraとマイクロソフト(Microsoft)は、データセンター向けのニアゼロ排出(near-zero emission)スチール供給契約を締結し、加えて業界初となる環境属性証書(EAC: Environmental Attribute Certificates)による協定も発表した。この2件の契約により、気候変動対策と低炭素インフラ構築を推進するMicrosoftの取り組みが一層加速される。
Stegraが建設中のスウェーデン・ボーデンの製鉄所から供給されるスチールは、従来の製鉄に比べて最大95%の排出削減を実現する見込みで、Microsoftのデータセンター建設に使用される。Microsoft自身はスチールを直接使用する立場にはないが、サプライヤーと連携してサステナブルな素材を調達・加工し、自社のスコープ3排出削減に貢献する。
注目すべきは、実物のスチールとは別に、その「グリーン価値」を証明するEACの取引を可能にした点である。物理的なスチールは通常品として販売される一方、StegraはEACを通じてMicrosoftに排出削減クレジットを供給し、Microsoftはそれを自社活動に紐づけて報告可能とする。これは、グリーン素材の物理的供給が難しい地域や状況でも市場を形成し、グローバルな需要シグナルを発する新たな手段として注目されている。
MicrosoftのMelanie Nakagawaサステナビリティ責任者は「低炭素素材の市場形成には先行的な需要喚起が欠かせない。EACスキームは、排出削減の可視化と投資判断を促す有効な仕組みだ」と述べ、Stegraとの協業がインフラ脱炭素化の鍵であることを強調した。
(原文)Stegra announces agreement with Microsoft, driving demand for near-zero emission steel
(日本語参考訳)ステグラがマイクロソフトとの契約を発表、排出ガスゼロに近い鋼材の需要を促進