クライメート・ウィークNYC 2025開始:COPの前哨戦・主な争点

クライメート・ウィークNYC(Climate Week NYC)とは

9月21日、クライメート・ウィークNYC(Climate Week NYC)が28日まで開催される。本イベントは、毎年国連総会の時期に合わせて開催される世界最大級の気候変動関連のイベントである。各国政府、企業、金融機関、市民団体などが一堂に会し、気候変動対策の議論と具体的な行動計画を推進する。過去(24年)には日本の企業も参加し取り組みを公表している。

COPに向けた重要な位置づけ

本イベントは、COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)に先立って開催されるため、「非公式な気候サミット」とも一部のメディアや専門家の間で呼ばれている。COPの交渉は政府間の合意が中心であるが、Climate Week NYCは民間セクターや非国家アクターが主導する場。本イベントでは、企業の脱炭素目標や投資計画などが議論されるため、COPでの交渉に影響を与え、国際的な気候変動対策の方向性につながる可能性がある。Climate Week NYC 2025では、過去最多となる900以上のイベントが開催される予定で史上最大規模になっているという。

2024年の成果と2025年の主要アジェンダ

2024年のClimate Week NYCは、「It’s Time」をテーマに、気候変動対策のアクション加速に焦点が当てられた。このイベントではAIの活用や自然資本、サーキュラーエコノミー(循環型経済)、そして人的資本や人権といった社会的側面にも注目が集まった。

Climate Week NYC 2025のテーマは「Power On(始動/起動)」であり、気候変動対策を「議論から実行へ」と移行させる強い意志を象徴していると言える。
今年の主要な議題は以下の通りである。

  • エネルギー転換の加速とAI活用: 再生可能エネルギーへの移行を加速、AIを活用した効率化も焦点
  • サプライチェーンの脱炭素化: 企業のサプライチェーン全体での排出量削減に向けた具体的な取り組みや協力体制
  • サステナビリティと事業成長の両立: 気候変動対策を単なるコストではなく、企業の競争優位性を生み出す機会として捉える

企業が注目すべきポイント

Climate Week NYC 2025自体は、政策や取り組みを議論する「場」であるものの、COPへの影響やサステナビリティを取り巻く環境の「潮流」を把握するには好機である。Climate Week NYC 2025の開催を踏まえ、企業とって以下の3点が特に注目するポイントになるだろう。

  • スコープ3(サプライチェーン)排出量への対応::企業が自主的にどのようにサプライチェーン全体の脱炭素を進めているか、その最先端の事例と戦略に注目することは必須である。
  • サステナブルファイナンスの動向:投資家が気候変動対策にどのような評価基準を設け、資金を振り向けているかを知ることは、資金調達や企業価値向上に直結する。
  • 革新的な技術とビジネスモデル:既存の枠組みを超えた新たな技術や、サステナビリティを中核に据えた新しいビジネスモデルに関する議論から、将来の事業機会を見出すヒントが得られる。

内容へのアクセス方法

議論結果な実際の様子を知るためには、公式サイトへのアクセスが有効だ。

公式サイトの「News」ページでは、イベントのハイライトをまとめた記事や、主要なセッションの動画が公開される。多くの基調講演やパネルディスカッションは、後日、オンデマンドで視聴できるようになっており、関心のある内容を深く理解することが可能である。

これらの公式情報源を活用することで、イベントの進捗や主要な成果を効率的に把握できるだろう。

(参考)https://www.climateweeknyc.org/ 

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