
9月15日、米大手資産運用会社T. Rowe Priceは、世界銀行グループの一員であるIFC(国際金融公社)と連携し、新興国における水資源・海洋保全を目的とした「Blue Economy Bond Strategy」を始動させたと発表した。初期投資額は2億ドル(約300億円)超に達し、持続可能な水管理とブルー・エコノミー(海洋・水関連経済)への資本流入を目指す。
この新戦略「T. Rowe Price Blue」は、海洋生態系の保護、下水処理、沿岸気候変動対策、清浄水インフラ整備などを対象としたプロジェクトに資金を供給する企業債に投資する。投資対象はIFCとT. Rowe Priceが共同開発した「Blue Impact Investment Guidelines」に準拠する企業に限定される。対象は金融機関および実体経済企業の両方で、投資を通じて現地雇用と持続可能性の両立を狙う。
資金提供者には、T. Rowe PriceとIFCの他、グローバル水処理ソリューション企業Xylemや、海洋・農業・エネルギー分野の持続可能性支援に取り組むBuilders Visionが参加。これにより、戦略立案と資本供給の両面で実効性の高い協業体制が整った。運用は同社の新興国債券部門責任者サミー・ムアディと、インパクト債券部門責任者マット・ローントンが共同で担う。
本戦略は、国連のSDGs目標6(安全な水と衛生)および14(海洋資源の保全)に整合し、EUのSFDR(サステナブルファイナンス開示規制)上の最高区分である「Article 9」に分類される。T. Rowe Priceは、急速に成長するブルー・エコノミー市場(2030年に3兆ドル規模と予測)において、先駆的な投資モデルを確立し、今後の民間資本の呼び水となることを目指す。