
9月12日、欧州連合(EU)の司法裁判所はEUが策定するグリーン投資の分類枠組み「EUタクソノミー」において、原子力および化石ガス(天然ガスの一種)を条件付きで「持続可能(サステナブル)」とみなす判断を支持する判決を下したと発表した。これにより、欧州委員会が2022年に行ったタクソノミー補完規則の合法性が認められ、オーストリアを中心とする提訴国の主張は退けられた 。
判決の争点となったのは、気候変動対策の観点から「移行期のエネルギー」と位置づけられる原子力および化石ガスを、EUのサステナブルファイナンスにおける「グリーン投資」と分類する妥当性である。オーストリアは、特に原子力について「放射性廃棄物のリスクを軽視しており、加盟国の環境主権を侵害する」と反発し、ルクセンブルクも同様の立場を表明していた。
これに対し、EU裁は補完規則について「科学的助言に基づいており、透明性のあるプロセスを経て採択された」と判断した。さらに、メタン漏れの監視や廃棄物管理といった特定の条件を満たす場合に限り、原子力や化石ガスを「気候変動の緩和に資する経済活動」として分類し得ると結論づけた。
この判決により、グリーンボンド市場などで原子力・ガス関連プロジェクトへの資金流入が引き続き可能となる。一方で環境団体や一部加盟国からは「グリーンウォッシングを正当化するものだ」との批判も根強く、EU内外で持続可能性の定義をめぐる議論は今後も続く見通しだ。