
7月、英大手金融機関ナットウェスト・グループは、2050年ネットゼロ実現に向けた企業や個人の脱炭素化を支援すべく、2030年までに最大2,000億ポンドの気候・移行関連ファイナンスを提供するという新たな目標を発表した。このうち1,000億ポンドは、2025年までの既存目標の前倒し達成を見越した上で、新たに追加された資金である。
この取り組みは、同行が策定した「Climate and Transition Finance Framework」に基づいており、再生可能エネルギー、グリーンビルディング、クリーン輸送、サーキュラーエコノミーといった分野への融資・投資を対象とする。また、農業や土地利用、廃棄物管理など、持続可能性の観点から重要なセクターにも焦点を当てる。
同行は、国際的なタクソノミーやEUグリーンボンド基準、国連「ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」の要請に整合する形でフレームワークを設計しており、資金の透明性やトラッキング可能性を重視している。ナットウェストは、財務の力を通じて経済全体の移行を後押しするとともに、自社のポートフォリオの脱炭素化も同時に進めていく構えだ。
今回の目標は、同行のサステナビリティ戦略の中核をなすものであり、企業顧客への移行支援やイノベーション促進にとどまらず、地域社会への裨益も意識した包括的アプローチの一環と位置づけられている。