
7月22日、欧州のサステナビリティ投資に特化した資産運用会社アンビエンタ(Ambienta SGR)は、スペイン拠点の生物学的農業ソリューション企業Agronova Biotech(以下Agronova)を買収したと発表した。今回の取引は、アンビエンタにとって持続可能な農業分野への初投資であり、またスペイン市場への初参入でもある。売却元はMagnum Industrial Partnersおよび創業者のCasanova一家である。
Agronovaは50年の歴史を持ち、バイオスティミュラントやバイオコントロール製品なども含む、生物学的作物代替品の開発で欧州およびアメリカ市場をリードしてきた。現在では800以上の登録製品を有し、5つの研究所と6つの先進的な生産拠点を運営。作物のライフサイクル全体にわたり、干ばつや病害虫などの生物的・非生物的ストレスに対応する技術を提供している。
世界のバイオソリューション市場は現在210億ドル規模で、年率11%の成長が見込まれているといい、これは従来型の農業資材の約3倍の成長率である。気候変動による降雨量の減少や熱波の頻発、消費者と規制当局による環境配慮の高まりが、化学物質から生物学的代替品への転換を後押ししている。
農業は全世界の温室効果ガス排出量の約15%を占め、過剰な農薬・化学肥料の使用は土壌劣化や生物多様性の喪失にもつながる。Agronovaの製品群はこうした問題への対策として、微生物を用いた殺虫剤、非化学的な有機肥料、土壌からの栄養吸収を助けるバイオスティミュラントなどを提供し、持続可能な農業への移行を支援している。