GM、EV中古電池で蓄電事業 Redwoodと提携、AIの電力需要増に対応

7月16日、米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)は電池リサイクルを手掛ける米レッドウッド・マテリアルズと、エネルギー貯蔵システム(ESS)事業で協業するための覚書を締結したと発表した。GM製の新型バッテリーに加え、電気自動車(EV)の使用済みバッテリーを再利用し、急増する電力需要に対応する。

背景には、人工知能(AI)データセンターの急拡大などによる電力需要の逼迫がある。米国の電力消費量に占めるAIデータセンターの割合は、2023年の4.4%から28年には12%へと約3倍に拡大するとの予測もあり、電力網の安定化や停電対策として大規模な蓄電システムの必要性が高まっている。

今回の提携により、GMは先進的なバッテリー技術を自動車分野以外にも展開する。一方、レッドウッドは今年6月に立ち上げたエネルギー貯蔵事業「レッドウッド・エナジー」で、GM製の新品および中古バッテリーを統合したシステムを構築し、米国内で製造から運用まで一貫したソリューションを提供する。

GMでバッテリー部門を統括するカート・ケルティ副社長は、「電力需要は加速的に伸びている。米国には国内で迅速かつ経済的に展開できる蓄電ソリューションが必要だ」と述べ、エネルギーの安定供給に貢献する姿勢を強調した。

レッドウッドの創業者兼CEOであるJB・ストラウベル氏は、「GMのバッテリーを我々のシステムに組み込むことで、米国のエネルギーと製造業の独立性を強化できる」とコメントした。

両社は既にネバダ州で、AIインフラ企業向けにGMの使用済みバッテリーを再利用した北米最大級のマイクログリッド(小規模電力網)を共同で運営している。計画の詳細は2025年後半に改めて発表する予定だ。

(原文)GM and Redwood Materials to pursue use of U.S.-built batteries for energy storage
(日本語参考訳)GMとレッドウッドマテリアルズ、エネルギー貯蔵用として米国製バッテリーの利用を推進

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成しています。今後の動向により内容は随時更新され…

ピックアップ記事

  1. 2025-10-24

    GHGプロトコル、企業排出報告の信頼性向上へ―新たな公開協議を実施

    10月20日、温室効果ガス(GHG)排出会計の国際基準を策定するGHGプロトコルは、Scope2基…
  2. <最新>SBTi FLAGの概要とガイダンスの改訂ポイント

    2025-10-20

    <最新>SBTi FLAGの概要とガイダンスの改訂ポイント

    2025年10月に、SBTi(Science Based Targets initiative)は…
  3. 【特別対談】人的資本が企業価値を作るーANAが実践するサステナビリティ経営戦略に学ぶ(前編)

    2025-10-15

    【特別対談】人的資本が企業価値を作るーANAが実践するサステナビリティ経営戦略に学ぶ(前編)

    本記事は、ESG Journalを運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社(以下シェルパ)のC…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る