
6月25日、食品大手ネスレは、西アフリカで展開するカカオ農家の所得向上支援プログラムが、参加世帯の収入増や生活の安定に明確な成果を上げているとする独立機関の評価報告書を公表した。天候不順による不作という厳しい環境下でも、プログラム参加農家は非参加農家を上回る収益を確保した。
オランダのKIT研究所がまとめた報告書によると、コートジボワールの参加農家は2024年、非参加農家と比較してカカオの収量が18%増加。カカオ価格高騰の後押しもあり、世帯の純所得は15%上回った。
成果は所得にとどまらない。適切な剪定や雑草駆除といった優良農法の導入が進んだほか、女性の意思決定への参加度を示す指標や、子供の就学率も向上(22年の81%→24年は88%)するなど、世帯全体の生活改善に貢献していることが示された。
このプログラムは、児童労働リスクの削減などを目指し2022年に本格始動した。ネスレは現在3万世帯の対象を26年までに5万世帯へ拡大する計画で、同社のローラン・フレグゼCEOは「政府や他企業とも連携し、取り組みを拡大したい」とコメントしている。
(原文)Nestlé program sees improved incomes and better resilience among cocoa farming families