TrusTrace、追跡データ標準化の新指針を発表

6月4日、サプライチェーンのトレーサビリティ(追跡可能性)プラットフォームを提供するTrusTrace(本社・ストックホルム)は、ファッション業界向けの新たな手引書『The Data Advantage』を発表した。厳格化する環境・社会規制に対応するため、企業とサプライヤー間のデータ収集を効率化・標準化する新たなフレームワーク「TrusTrace Compliance Canvas™」を提唱する。

近年、ファッション業界では、人権や環境に関する規制が世界的に強化され、企業にはサプライチェーン全体での透明性確保が求められている。しかし、報告要件の標準化が進んでおらず、サプライヤー側の負担増大が課題となっていた。

今回発表された手引書は、この課題を解決するための実践的な枠組みを示すもの。規制遵守に最低限必要なデータ項目を「ミニマム・データ・パッケージ」として定義し、企業とサプライヤーが共通の基盤で連携できるようにすることで、データ収集の重複や報告業務の負担を軽減する。

手引書の作成にあたり、アディダス、ヒューゴボス、プライマークといった大手ブランドのほか、主要サプライヤーからも聞き取りを実施。各社が直面する課題や、手作業に依存するデータ収集の実態、今後の展望についての実用的な知見が盛り込まれている。

アディダスのサステナビリティ・ESG担当上級副社長であるシグリッド・ビューレ氏は「サプライチェーン関連のデータを、財務データと同等の堅牢性を持つレベルに引き上げることが目標だ」とコメント。また、プライマークの製品トレーサビリティ責任者、カリ・アトキンソン氏は「TrusTraceとの協業で、複雑なデータ要件をチームやサプライヤーにとって管理しやすいものに変えることができた」と評価する。

専門家は、データ戦略の不備が法務、財務、評判におけるリスクを増大させると指摘。同手引書は、こうしたリスクを軽減するツールとしても機能するという。TrusTraceのシャミーク・ゴーシュCEOは「データがコンプライアンスの新たな基盤となる中、企業には意図だけでなくインフラが必要だ。この手引書は、実践的なデータ連携がどうあるべきかを示している」と述べた。

(原文)TrusTrace Launches 4th Industry Playbook: A New Framework to streamline data collection to comply with industry regulations and de-risk supply chains
(日本語参考訳)TrusTraceが第4次産業プレイブックを発表:業界規制に準拠し、サプライチェーンのリスクを軽減するためのデータ収集を合理化する新しいフレームワーク

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