豪州、初のグリーンウォッシング事件でMercerに1130万ドルの罰金

8月2日、オーストラリア連邦裁判所は、Mercer Superannuation(Australia)Limitedに対し、1130万オーストラリアドル(約740万ドル)の罰金を命じた。これは、ASIC(オーストラリア証券投資委員会)が提起した初のグリーンウォッシング事件であり、金融業界全体にとっても重要な判決である。

裁判所は、Mercerがウェブサイトで宣伝していた「Sustainable Plus」投資オプションにおいて、炭素集約型の化石燃料、アルコール生産、ギャンブルに関与する企業への投資を排除すると主張していたが、実際にはそれらの企業に投資していたことが確認された。具体的には、化石燃料の採掘や販売を行う15社、アルコールを生産する15社、ギャンブル業界に関わる19社に投資されていた。

この事件に対し、裁判官は「MercerがESGに関する主張の正確性を確保するための適切なシステムを実施しなかったことが、この重大な違反を引き起こした」と述べ、消費者が金融商品のESG主張に信頼を寄せられることの重要性を強調した。

ASIC副委員長のSarah Court氏も、「この判決は、金融業界においてグリーンウォッシングに対する厳しい姿勢を示すものであり、今後も市場におけるESG関連の主張を厳しく監視する」と述べた。

【参照ページ】
(原文)ASIC’s first greenwashing case results in landmark $11.3 million penalty for Mercer
(日本語参考訳)ASIC 初のグリーンウォッシング事件でマーサーに画期的な 1,130 万ドルの罰金

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成しています。今後の動向により内容は随時更新され…

ピックアップ記事

  1. 2025-10-20

    SEC議長、ESG株主提案の政治化に警鐘―「企業統治の本質に立ち返るべき時」

    10月9日、米証券取引委員会(SEC)のポール・S・アトキンス議長は、デラウェア大学のジョン・L・…
  2. 【特別対談】人的資本が企業価値を作るーANAが実践するサステナビリティ経営戦略に学ぶ(前編)

    2025-10-15

    【特別対談】人的資本が企業価値を作るーANAが実践するサステナビリティ経営戦略に学ぶ(前編)

    本記事は、ESG Journalを運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社(以下シェルパ)のC…
  3. 【特別対談】サステナビリティ情報開示の進展が企業価値向上を実現。AI/テクノロジー活用への期待(後編)

    2025-10-15

    【特別対談】サステナビリティ情報開示の進展が企業価値向上を実現。AI/テクノロジー活用への期待(後編)

    本記事は、ESG Journalを運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社(以下シェルパ)のC…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る