Telstra、2030年までのスコープ1・2排出量削減目標を50%から70%に引き上げ

6月14日、オーストラリアの通信・情報サービス企業Telstraは気候変動対策を強化し、2030年までにスコープ1と2のカーボン排出量削減目標を50%から70%に引き上げることを発表した。この新たな目標により、同社は脱炭素化プロジェクトへの投資を優先し、エネルギー効率の向上や電動車両の導入を推進する。さらに、これにより長期的なコストの削減も期待される。

同社は2019年度から今までにスコープ1~3での排出量約30%削減・新規太陽発電所や風力発電所プロジェクトの支援・カーボンオフセットの実施など、積極的に気候変動への取り組みを行ってきた。また、2020年に電力消費量の100%に相当する再生可能エネルギー発電を契約しカーボン・ニュートラルを達成したと報告している。今回の発表により、既存の気候変動対策プログラムに基づき、排出削減目標を従来より引き上げるとともに、より直接的な対策を行うことを明らかにした。

同社はエネルギー消費を削減するための技術革新と最適化を進めていると発表した。これには、データ分析とAIを活用したデータセンターの効率化・グリーン水素電池の試験的導入・太陽光発電と蓄電池の導入など再生可能エネルギーの利用拡大が含まれる。また、車両の電動化を進めることで、スコープ1の排出削減を目指していると発表。これにより、車両運用コストの削減と環境負荷の低減が期待される。

また、同社はスコープ2の排出削減を達成するため、再生可能エネルギーに関するプロジェクトへの投資を拡大すると発表。また、太陽光発電所や風力発電所への投資を支援するなど、オーストラリアの再生可能エネルギー主体の電力網への移行に引き続き役割を果たしていくとした。これらの投資により、2025年までに電力消費量の100%に相当する再生可能エネルギーを利用できるようになる。

以前より同社はカーボンクレジットを購入することでカーボンオフセットを実施してきたが、今後は直接的な排出削減を優先するため、カーボンクレジットの購入に依存せず、実際の排出削減プロジェクトに投資を集中させると発表した。この決定により、同社はオーストラリアの気候変動対策グループであるClimate Activeの認証を今後求めず、また同社の気候変動対策計画から「カーボンニュートラル」や「カーボンオフセット」の表現を削除することになる。しかし、これが気候変動対策の撤退を意味するものではなく、むしろ国内での直接的な排出削減に向けた行動を強化していくためのものだとした。

【参照ページ】
(原文)How we’re evolving our climate change commitments
(日本語参考訳)気候変動への取り組みをどのように進化させているか

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