7月25日、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)は、運用世界大手米バンガードの豪子会社バンガード・インベストメンツ・オーストラリアに対し、バンガード・ファンドへの投資に適用される特定のESGスクリーニングに関する主張に関して誤解を招く行為があったとして、連邦裁判所に民事罰の手続きを申し立てた。
ASICは、バンガードが「Vanguard Ethically Conscious Global Aggregate Bond Index Fund (Hedged) (Fund)」に含まれるすべての証券が特定のESG基準に照らしてスクリーニングされていると表明するにあたり、虚偽で誤解を招くような発言を行い、一般投資家を欺く行為に及んだとしている。同ファンドは、特に倫理的に配慮したスクリーニングを受けた証券を求める投資家向けに販売された。
ファンドが保有する投資対象は、ブルームバーグ・バークレイズMSCIグローバル・アグリゲートSRI除外フロート調整指数(インデックス)と呼ばれる指数に基づいていた。バンガードは、このインデックスが化石燃料を含む様々な業界で重要な事業活動を行う発行体を除外していると主張した。
しかし、ASICはESGリサーチがインデックスに含まれる債券の発行体のかなりの割合について実施されておらず、したがってファンドについても実施されていなかったと主張している。
2021年2月時点で、ASICは、インデックスについては、少なくとも180の債券を発行した42の発行体、ファンドについては、少なくとも27の債券を発行した少なくとも14の発行体が、適用されるESG基準に違反していると主張した。これらの債券が、石油・ガス探査に関連する活動を含む化石燃料と関係のある投資対象に投資家の資金をさらしたとしている。
今回のケースでバンガードは、化石燃料を含む特定の産業で重要な事業活動を行う債券発行会社を除外するよう、商品をスクリーニングすると投資家に約束した。
ASICは裁判所に対し、宣言と罰金を求めている。ASICはまた、裁判所が認定した違反行為を公表するようバンガードに求める命令も求めている。
【参照ページ】
(原文)ASIC commences greenwashing case against Vanguard Investments Australia
(日本語訳)ASIC、バンガードに対するグリーンウォッシュ訴訟を開始