6月、国連環境計画イニシアティブ(UNEP FI)は、海洋関連分野の持続可能な資金調達に関する報告書を発行した。本報告書では、深海鉱物の採掘計画に伴う重大な風評リスク、規制リスク、オペレーションリスクについて議論し、金融機関が深海鉱業分野にどのように対応すべきかを論じている。また、必要なレアアースや金属の採掘に融資を希望する金融機関が、陸上採掘の環境フットプリントを削減し、循環型経済への移行を支援する代替戦略に力を注ぐ方法を示している。
海洋は地球表面の大部分を占め、全水分の97パーセントと全生物の80パーセントを保有している。漁業、港湾・海運、海洋再生可能エネルギー、沿岸インフラなどの主要な海洋部門は、総体として「ブルー」エコノミーに貢献している。
経済協力開発機構(OECD)が作成した推計によると、海洋関連セクターは、2010年の世界の総付加価値の約1.5兆ドル(約199兆円)に相当し、この数字は、2030年までに3兆ドル(約398兆円)に増加すると予測されている。一部の海洋産業は世界経済よりも速い速度で成長すると考えられている。
しかし、海洋の健全性は気候変動・自然破壊・汚染という3つの危機に直面し大きなストレスにさらされており、海洋に依存する産業、ビジネス、生活は深刻な状況である。海洋に関連する多くの既存部門は、持続可能なブルーエコノミーに積極的に貢献する可能性を持っているが、これはすべての部門に当てはまるわけではない。特に石油・ガスや海底鉱床などの非再生可能な海洋資源の採掘は、海洋に大きなリスクをもたらし、持続可能とは言えない。
UNEP FIは、多くの投資と資金調達が、非再生可能な海洋資源の開発に向けられ続けていることを認識し本報告書において、深海底資源開発に伴う財務リスクと環境影響を分析している。
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Harmful Marine Extractives