SSBJ、気候リスクの財務影響の算定手順を具体例で解説 重要性判断の新ハンドブックも公表

10月30日、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は、SSBJ基準に基づく情報開示を支援するため、新たに2本のハンドブックを公表した。「予想される財務的影響の開示の考え方」では、気候関連リスク・機会が企業の財政状態や財務業績、キャッシュ・フローに及ぼす影響について、定性的・定量的情報の作成手順を具体例とともに示した。
財務影響の定量化を解説
SSBJ基準では、サステナビリティ関連のリスク・機会による短期・中期・長期の財務的影響について、定性的・定量的情報の開示を求めている。今回のハンドブックでは、洪水による物流センターの浸水を例に、影響を受ける事業活動の特定から、売上高の減少、棚卸資産の損失、設備の減損などの財務的影響を把握する手順を解説した。
定量化については、1日当たりの売上高と操業停止日数を用いた減収額の算定や、資産簿価と浸水深別被害率を用いた損失額の算定などを例示。国土交通省の公表データや専門家の判断を活用する方法も示した。
また、予想される財務的影響の定量化は、将来を正確に予測することではなく、不確実性を明らかにし、情報の透明性を確保することが目的だと説明。簡易なモデルから始め、企業の能力向上に応じて精緻化する方法も挙げた。
重要性がない情報の省略についても説明
「情報に重要性がない場合の取扱い」に関するハンドブックでは、SSBJ基準が具体的な開示項目を要求していても、情報に重要性がなければ開示は不要であることを示している。一方、重要性がないと判断した理由について、主要な利用者の理解に役立つ場合には、追加的な情報として開示することが有用となり得ると説明している。
SSBJは同日、追加的な情報、相互参照、公表承認日に関する既存のハンドブック3本も更新した。なお、ハンドブックはSSBJ事務局による解説資料であり、SSBJ基準の一部を構成するものではない。
参考:2026年10月SSBJハンドブックの公表及び公表済みのSSBJハンドブックの一部更新
関連特集|SSBJ対応、実務で何から確認する?
今回SSBJが公表したハンドブックでは、気候関連リスクの財務的影響の算定や、開示情報の重要性判断について具体例が示された。一方、企業がSSBJ基準への対応を進めるうえでは、既存開示の活用、気候関連データの整備、財務・非財務情報の関連付け、第三者保証への準備など、複数の課題を整理する必要がある。
ESG Journalでは、SSBJ対応に関する実務上の疑問をテーマ別に整理した特集ページを公開している。制度の基本から、気候関連開示、保証対応、実務支援資料まで、自社の課題に応じて確認できる。
<実務ポイント>
制度の理解だけでなく、既存開示の活用、気候関連データの整備、第三者保証への準備など、自社の状況に応じた対応が必要
課題別に調べるには・・・

