気候レジリエンス評価をどう見直す? SSBJ対応で確認したい前提・事業影響・対応策

洪水、熱波、干ばつ、山火事などの気候関連災害が世界各地で相次いでいる。2026年9月にはタイ各地で大雨による洪水が発生し、ネパールでも洪水や地滑りが発生した。欧州でも夏にはヨーロッパ各地の広い地域で熱波による影響が確認された。
昨今の気候変動にともなう自然災害が頻発する状況を受け、企業にとって改めて重要になっているのが「気候レジリエンス」ではないだろうか。日本企業においても、想定していたリスクを再評価する動きも見られる。
これまで実施してきた気候レジリエンス評価は、現在の事業環境に照らしても十分と言えるのだろうか。
本記事では、S&P Globalが2026年9月に公表したレジリエンスに関する最新分析などをもとに、企業の気候レジリエンスの向上に向けた取り組みについて再整理をする。
また、レジリエンス評価の実施において、改めて確認したい範囲や具体性、さらに、SSBJ対応におけるレジリエンス開示についてポイントを解説する。
相次ぐ気候災害、改めて問われる企業のレジリエンス
気候関連災害による影響は、自社拠点にとどまらず、サプライヤーや物流など、バリューチェーンを通じて波及する可能性がある。
Allianzが2026年1月に公表した「Allianz Risk Barometer 2026」によれば、気候変動に関連して企業が最も懸念する影響として、サプライチェーンのボトルネックや物流の混乱を含む「事業中断」が63%と最多。また、グローバルサプライチェーンでは、一地域の気候イベントが世界的に波及する可能性を指摘している。
近年、各地で頻発する気候関連災害は、これまで使用していた「シナリオ」で想定されていた程度を上回っている場合がある。そのため、これまで設定してきたレジリエンス評価の前提や対象範囲が、現在の事業環境においても適切であるか再度確認する必要があるだろう。
気候レジリエンスを高める「適応」への対応が進む
気候レジリエンスを高めるうえでは、気候変動による影響に備え、対応する「適応」も重要になる。S&P Globalは、適応を「現在および将来の気候変動の影響に備え、調整するための実践的な措置」、レジリエンスを「気候ショックに耐え、吸収し、回復する能力」と整理している。
同社が2025年のCorporate Sustainability Assessment(CSA)に回答した9,242社を分析したところ、適応計画を開示している企業は2022年の19%から2025年には46%まで増加した。アジア太平洋地域では58%、欧州では42%に達しており、企業において適応への対応が広がっていることがうかがえる。
一方、S&P Globalは、全社的な適応計画に比べ、特定の拠点や資産などを対象とした個別の適応計画の増加は緩やかであることも指摘している。また、適応計画を持つ企業のうち、10年以内に計画を実施するとした企業は32%にとどまった。
適応計画の策定は、気候変動による影響への対応を具体化する一つの手段となる。一方、気候レジリエンスを考えるうえでは、計画の有無だけではなく、自社の戦略やビジネスモデルが気候関連の変化にどこまで対応・適応できるのかを評価することも重要になる。
では、すでに実施している気候レジリエンス評価について、どのような点を改めて確認すればよいのだろうか。
✓ 拠点だけでなくサプライチェーンまでどう評価するか
✓ 事業影響や対応策をどこまで具体化するか
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<執筆者>

竹内愛子
国際関係学に関する修士号を取得。総合コンサルティングファームにて、システムおよび戦略コンサルティングに従事した後、Big4ファームのアドバイザリー部門にて、ガバナンス・リスクマネジメントや統合報告に関する企業向け支援に携わる。
2022年より ESG Journal にて、サステナビリティ経営の観点から、情報開示実務やそれを支えるシステム活用をテーマに、オリジナル解説およびホワイトペーパーの執筆を行っている。

