
7月24日、環境省は、発がん性などが指摘される有機フッ素化合物(PFAS)の一種であるPFOSやPFOAの濃度を低減させるための対策技術の実証事業で、対象となる9件の技術を選定したと発表した。汚染土壌の熱分解や排水のプラズマ処理など多様な技術が選ばれており、今後実証試験を通じて効果を検証し、知見を全国の自治体などに共有して対策を加速させる狙いだ。
PFOSやPFOAは「永遠の化学物質」とも呼ばれ、自然界で分解されにくく、健康への影響が懸念されている。国内でも河川や地下水から国の暫定目標値(1リットルあたり50ナノグラム)を超える事例が相次いでおり、効果的な浄化技術の確立が急務となっている。
これを受け環境省は、国内の対策技術の知見を充実させることを目的に、今年4月から5月にかけて技術を公募。土壌、産業廃棄物処分場の排水・浸透水の3分野で、50社から計74件の応募があった。学識経験者らによる審査の結果、大手ゼネコンや環境関連企業など8社の計9件が採択された。
選定された技術は以下の通り。
【土壌対策技術(4件)】
汚染土壌を高温の炉で熱分解する技術(鴻池組)や、洗浄して汚染物質を分離する技術(清水建設)、PFOSなどが溶け出さないように固める固定化・安定化技術(環境管理センター、大林組)が選ばれた。
【水対策技術(5件)】
活性炭やイオン交換樹脂で吸着・除去する方法(エコサイズ、奥村組)に加え、より先進的な分解・無害化技術も対象となった。具体的には、プラズマや特殊な超音波を利用してPFOSなどを分解する技術(清水建設、日立ハイテク)や、溶媒で抽出した後に光で分解する技術(エマルションフローテクノロジーズ)が含まれる。
今後、選ばれた技術は実際の汚染現場やそれに準じた環境で実証試験が行われる。環境省は、この事業で得られた効果やコストに関するデータをまとめ、対策に悩む自治体などへの技術的な支援に繋げる方針だ。PFASをめぐっては国内外で規制強化の動きが進んでおり、実用的な浄化技術の確立と普及が期待される。