
6月6日に日本銀行が公表した調査で、国内のESG債(環境・社会・ガバナンス債)市場が転換点を迎えていることが明らかになった。これまで拡大を続けてきた年間発行額が2024年に初めて減少し、投資家の裾野の広がりも限定的であることが示された。
調査によると、24年の発行額減少は、大型案件の剥落や金利先高観による前倒し発行が主な要因。企業の脱炭素に向けた資金需要は根強いものの、調達手段はESG債にこだわらず、一般社債や銀行借入など柔軟に検討する傾向が強まっている。
市場では需給が緩み、ESG債の強みとされた金利面の優位性(グリーニアム)を指摘する声も減少した。
今後の市場拡大に向け、調査では「気候変動を重視する発行体や投資家の裾野の広がり」が最大の課題として挙げられた。コストと効果を見据えた、より現実的な気候変動ファイナンスのあり方が問われている。