EcoVadis評価にどう対応すべきか ~評価対応と実務的アプローチ~

EcoVadisは、顧客企業によるサプライチェーン・マネジメントの高度化を背景に「取引条件の一部」として機能する評価プラットフォームとしてその重要性を急速に高めている。
近年では、単なるサステナビリティ評価にとどまらず、調達・購買、リスク管理、サプライヤー選定と直結する意思決定ツールとして活用されるケースが増加している。
特に近年、調達・購買部門を中心に、EcoVadisスコアを前提条件としたサプライヤー管理やリスクスクリーニングが一般化しつつある。その一方で、「どこを見られているのか」「なぜ評価が伸びないのか」「開示対応と何が違うのか」といった疑問を抱える場合もあるだろう。
EcoVadisの評価とは、サステナビリティ・マネジメントシステムの成熟度を、取引の文脈で可視化する仕組みであると考える。この評価ロジックを正しく理解できれば、実務上の評価向上にも結びつくだろう。。
本稿では、EcoVadis公式の評価手法を踏まえつつ、以下について整理する。
- 評価構造と採点ロジックの全体像
- 国際的なサステナビリティ・フレームワークとの関係性
- 実務対応において押さえるべき重要ポイント
EcoVadis対応を「評価対応」ではなく、調達・人権・倫理を含む経営課題として捉え直すための視点を提供していきたい。
スペシャリスト執筆者:田中咲(シェルパ・アンド・カンパニー・コンサルタント)
企業のESG評価機関対応や持続可能性向上を支援するコンサルティング業務に従事。企業のESG評価機関対応に精通し、評価向上を実現した豊富な実績を持つ。国際関係学部 国際関係学専攻卒。前職では大手自動車部品メーカーのサステナビリティ担当に従事。
EcoVadisとは?その役割と重要性
EcoVadisは、国際的なサステナビリティ評価機関の中でもバイヤー主導型の評価として独自のポジションを確立している。
Rate the Raters 2025によると、EcoVadisはESG評価のなかで最も実務的に有用性のあるツールとして企業から高く評価されている。
本コラムでは、EcoVadisの評価構造、国際フレームワークとの関係性、実務的な意味合い、スコア向上に向けた留意点について整理する。
EcoVadisとは
EcoVadisは、2007年にフランスで設立された評価機関であり、サプライヤー評価を起源としているためサプライチェーン・マネジメント分野で高い認知を有している。
評価対象は上場・非上場を問わず、現在では世界180か国以上、数十万社規模の企業が評価対象となっており、評価企業のサステナビリティ・マネジメント体制および実行状況を第三者の立場から評価している。
EcoVadisの最大の特徴は、取引先からの要請を起点として評価が行われる点にある。
このため、EcoVadisスコアはBtoB取引における信頼性の証明として機能する。
また、EcoVadisは単なるコンプライアンス確認ではなく、企業のサステナビリティ・マネジメントシステムの「成熟度」を評価する仕組みとして設計されている点が重要である。
公式評価手法では、法令遵守を最低限の前提とした上で、方針・実施対策・結果がどの段階まで体系化・定着しているかが評価の中心に据えられている。
EcoVadis評価の基本構造
EcoVadisは、以下の4つのテーマ(21のサステナビリティ基準)について評価を行う。
| テーマ | サステナビリティ基準 | |
| 環境 | 事業活動 | エネルギー消費と温室効果ガス |
| 水 | ||
| 生物多様性 | ||
| 大気汚染 | ||
| 原材料・化学物質・廃棄物 | ||
| 製品 | 製品の利用 | |
| 使用済み製品 | ||
| 顧客の健康と安全 | ||
| 環境に優しいサービスと持続可能な消費の促進 | ||
| 労働と人権 | 人事 | 従業員の安全衛生 |
| 労働条件 | ||
| 社会対話 | ||
| キャリアマネジメントと教育 | ||
| 人権 | 児童労働・強制労働・人身売買 | |
| 多様性・平等・包括性 | ||
| 外部の利害関係者の人権 | ||
| 倫理 | 腐敗行為 | |
| 反競争的慣行 | ||
| 責任ある情報管理 | ||
| 持続可能な資材調達 | サプライヤーの環境慣行 | |
| サプライヤーの社会慣行 | ||
EcoVadisでは、評価対象となる基準は登録時点で業種・企業規模・事業ロケーションに基づいて有効化・無効化される。
その結果、すべての企業が同じ質問や同じ基準で評価されるとは限らない。「そもそも評価対象にならない基準」が存在する可能性がある。全テーマを一律に対応しようとすることで、不要な対応になりかねないため留意が必要だ。
以下、どのように評価基準が異なるのか事例を紹介するとともに回答における実務的な意味合いについても解説する。
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執筆者紹介
![]() | ESG Journal 編集部 専門知識を備えたライター陣と鋭い視点を持つ編集チーム。国内外の最新動向の発信と独自の解説。企業のサステナビリティ情報開示の向上を目指す実践的な資料と価値ある情報の提供。3000人を超えるサステナビリティ担当者や関心の高い会員に支持される情報源。持続可能な未来を支える情報基盤。 |


