SBTi、ネットゼロ標準のパイロット開始

12月4日、Science Based Targets initiative(SBTi)は、電力分野向け「ネットゼロ標準(Net-Zero Standard)」草案のパイロットプログラムを開始し、参加企業の募集を開始した。対象は、発電、送配電、蓄電、電力取引、小売など、電力バリューチェーン全体に及ぶ。
本草案は、遅くとも2050年までのネットゼロ達成に整合する形で、短期および長期の科学的根拠に基づく目標設定を可能にする実務的かつ信頼性の高い枠組みを提供するものだ。企業が移行リスクを管理し、レジリエンスを高め、低排出電力需要の拡大に伴う成長機会を捉えることを目的としている。
従来の「電力事業者向けクイックスタートガイド」に代わる本標準は、対象範囲を拡大し、電力分野特有の排出特性や運用実態を反映した新たな基準を導入した。電力は家庭や産業、デジタル技術を支える基盤である一方、エネルギー関連排出は世界全体の温室効果ガス排出量の75%超を占める。再生可能エネルギー導入が進む中、電力分野はネットゼロ移行の中核に位置付けられている。
パイロット実施は、最終標準の実用性と科学的妥当性を確保するための重要な段階であり、参加企業は将来の目標設定手法に関する知見を早期に得るとともに、顧客や投資家、規制当局に対し信頼性ある気候リーダーシップを示す機会を得る。応募締切は1月16日(米太平洋時間23時59分)で、詳細は参照条件書に示されている。
(原文)SBTi launches pilot to shape the power sector’s Net-Zero Standard
(日本語参考訳)SBTi、電力部門のネットゼロ基準策定に向けたパイロット事業を開始

