X-energy、約7億ドルのシリーズD資金調達を完了 先進SMRの商業化を加速へ

11月24日、先進原子炉と核燃料技術の開発を手がけるX-Energy Reactor Company, LLC(X-energy)は、約7億ドルのシリーズD資金調達ラウンドをクローズしたと発表した。今回のラウンドは需要が供給を大幅に上回るオーバーサブスクライブとなり、Jane Streetが主導したほか、ARK InvestやGalvanize、Hood River Capital Management、Point72、Reaves Asset Management、XTX Venturesなどの新規投資家が参加し、Ares ManagementやEmerson Collective、NGPなど複数の既存投資家も継続して支持を示した。
X-energyの創業者でエグゼクティブ・チェアマンを務めるKam Ghaffarian氏は、投資家から寄せられた強いコミットメントを歓迎し、「今回の資金調達は、X-energyが未来のエネルギーを形づくる存在として期待されている証だ」と述べた。同氏は、創業時から“先進的な原子力エネルギーを手頃で不可欠なものにする”というビジョンを掲げてきたとし、新旧投資家の支援によりその実現へ大きく前進したと強調した。
調達資金は、同社がすでに11GWを超える受注残を抱える商業プロジェクトを支えるための供給網拡大や商業化体制の強化に充てられる予定である。CEOのJ. Clay Sell氏は、「今回のラウンドが成功したことで、主要な導入パートナーとの協力関係をさらに強化し、信頼性の高いサプライチェーンへの投資を進めることが可能になる」と述べ、同社が推進するXe-100高温ガス炉とTRISO-X燃料の商業化に向けた重要な一歩であると説明した。
X-energyは現在、DowやAmazon、Centricaといった世界的な企業と協力しながら、高温ガス炉Xe-100の導入プロジェクトを展開している。米国テキサス州のDowの製造拠点では、エネルギー省(DOE)の先進炉実証プログラムによる支援のもと、4基のXe-100建設計画が原子力規制委員会(NRC)の審査段階にある。また、Amazonとは2039年までに全米で5GWを超えるXe-100を導入するオプションを締結しており、その最初のプロジェクトとしてワシントン州のCascade Advanced Energy FacilityがEnergy Northwestと共同で進められている。さらに、英国ではCentricaと提携し、6GW規模の導入を視野に協議が進んでいる。
これらの取り組みに加え、X-energyは米国内で初となる先進核燃料TRISO-Xの製造施設を建設しており、原子力産業全体の供給体制強化にも貢献するとして注目されている。同社は、スケーラブルで安全性の高い原子力技術を通じて、世界的に増大するエネルギー需要に応える持続可能な供給を実現することを目指している。
今回の資金調達においては、Moelis & CompanyとJ.P. Morgan Securitiesがプレースメント・エージェントを務め、Latham & WatkinsがX-energyの法務アドバイザーとして関わった。
X-energyは、先進型小型モジュール炉(SMR)と独自核燃料の開発によって、より安全で効率的なクリーンエネルギー供給を実現する企業として注目を集めている。モジュール化による短期建設、低コスト化、そして高い安全性を武器に、ゼロカーボンエネルギーの普及に向けた取り組みを世界規模で加速させている。

