EIBグループ、グリーンファイナンスへの世界的アクセスを拡大 「Green Checker」をEU域外へ展開

11月11日、欧州投資銀行(EIB)グループは、環境・気候関連投資の適格性を判定するオンラインツール「Green Checker」の提供対象を欧州連合(EU)域外へ拡大した。これにより、世界各地の公的機関、民間企業、金融機関が、サステナビリティ関連プロジェクトの評価と資金調達をより容易に進められるようになる。

拡張版Green Checkerは、地域の実情に合わせて入力データを簡素化し、柔軟なパラメーターを備える。北アフリカ、中東、西バルカン、コーカサス、東方隣接地域など複数の国で利用可能になった。グローバル版は、ブラジル・ベレンで開催されたCOP30において、EUの「Global Gateway」投資戦略の一環として発表された。

EIB副総裁アンブロワーズ・ファヨールは「Green Checkerは変革をもたらすツールであり、企業が気候・環境基準との整合性を確認し、EIBパートナー銀行を通じた融資適格性を判断できる」と述べ、特に中小企業(SME)の活用を後押しする点を強調した。

Green Checkerは、利用者がプロジェクトの環境性能を段階的に評価し、EIBのグリーンファイナンス基準やEUタクソノミーとの整合性を判定する仕組みを提供する。エネルギー削減量や温室効果ガス削減量など、気候便益を推計したレポートも自動生成される。

本来は銀行、リース会社、国立開発金融機関といった金融仲介機関向けに設計されているが、ツールは無料かつ公開されており、SMEや小規模自治体、個人事業者も利用できる。

EIBアドバイザリーはこのほか、北マケドニアやモロッコで活用されている「脱炭素化ガイド」などのオンラインツールを開発しており、技術支援プログラム「Greening Financial Systems」とあわせて、各国の気候リスク対応、持続可能な戦略の導入、環境負荷低減投資を支えている。

EIBは長期融資機関としてEU政策の中核分野を支援しており、2024年には約890億ユーロの新規融資を調印した。グループとしては、気候行動および環境サステナビリティ関連投資が年間の約6割を占める。現在は「Climate Bank Roadmap」第2フェーズを進め、緑の産業転換とエネルギー安全保障を支える方針を示している。

(原文)EIB Group extends pioneering online tool to accelerate access to green finance globally
(日本語参考訳)EIBグループ、世界規模でのグリーンファイナンスへのアクセスを加速させる先駆的なオンラインツールを拡張

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