アップル、豪州とNZで再エネ拡大と森林保全を強化 「Apple 2030」へ向け加速

11月6日、アップルは豪州とニュージーランドにおける再生可能エネルギーおよび森林保全プロジェクトについての新たな展開を発表した。アップルはビクトリア州ランカスターで建設中の80メガワット級太陽光発電所を皮切りに、豪州で再エネ導入を拡大する方針を示した。同社は2030年までに、ユーザーがiPhoneやMacを充電・使用する際のエネルギーを100%クリーン電力で賄う目標を掲げている。豪州での複数の新規プロジェクトにより、2030年までに年間100万メガワット時超のクリーン電力を豪州電力市場にもたらす計画だ。

環境・政策・社会イニシアティブ担当部門長のリサ・ジャクソン氏は「2030年にはユーザーが使う電力すべてがクリーン電力で相殺される状態を実現したい」と述べ、豪州の電力転換と地域社会への恩恵を強調した。

ニュージーランドでは、同社の「Restore Fund(リストア・ファンド)」を通じて、森林保全・再生プロジェクトへの新規投資を発表した。北島4地点と南島1地点、合計8,600ヘクタールの森林を対象に、生物多様性の改善、炭素吸収量の増加、そして持続的なレッドウッド林の管理を進める。うち3,000ヘクタールは先住植生の保全区域として扱われる。

また豪州クイーンズランドで進行中のRestore Fund案件では、1,700ヘクタールの荒廃したサトウキビ農地を80万本超のマカダミア果樹園へ転換中で、土壌改善、水効率向上、生態系回復などの効果が期待されている。さらに先住民系団体W.Y.L.D.と協力し、国立公園をつなぐ100ヘクタールの生物多様性回廊も整備される。

Restore Fundは2021年に始動し、自然由来の高品質な炭素除去事業への投資を拡大する仕組みとして設計された。アップルは2030年までに事業全体のカーボンニュートラルを達成する方針で、2015年比で排出量75%削減を目指す。すでに60%以上の削減を実現しており、残余排出については自然環境を中心とした質の高い炭素除去によって均衡させる計画だ。

(原文)Apple announces new renewable energy and conservation projects in Australia and New Zealand
(日本語参考訳)アップル、オーストラリアとニュージーランドで新たな再生可能エネルギーと保全プロジェクトを発表

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