
10月30日、ブルームバーグは低炭素技術の普及に伴う企業やポートフォリオのパフォーマンス評価を支援する新たな分析ツールを発表した。これにより、投資家は移行リスクや機会をより精緻に把握し、脱炭素目標と整合した投資判断を行うことが可能となる。新機能は「Bloomberg Terminal」やデータライセンス、「bnef.com」で提供される。
ブルームバーグNEF(BNEF)によると、低炭素技術への世界的な投資額は2009年の1,600億ドルから2024年には2.1兆ドルへと急増。2025年前半には再生可能エネルギー新規プロジェクトへの投資が3,860億ドルに達し、前年同期比10%増を記録した。こうした市場の構造変化を背景に、投資家は企業の事業モデルや収益への影響をより詳細に把握する必要が高まっている。
従来の移行リスク分析は主に炭素価格や排出コストに焦点を当てていたが、ブルームバーグはこれを拡張し、企業が直面する市場構造の変化、技術革新、地域政策などを統合的に評価する手法を導入した。
新しい分析ツールでは、以下の指標を基に企業を比較・評価できる。
- 再生可能エネルギーや化石燃料に対する売上・設備投資の比率
- 脱炭素目標および移行計画の信頼性を示す指標
- 異なる気候シナリオ下における収益への影響
BNEFが今回発表した「Transition Exposure Revenues」データセットは、世界の上場企業約10万社の収益を23種類のエネルギー活動に分類。ブルームバーグの独自データを基に、移行関連のリスクと機会を定量的に把握できる。さらに、新たに追加された「Transition Capex」データは、企業が低炭素技術にどの程度投資しているかを示す先行指標として機能する。
また、BNEFは9,000社以上の設備投資データを収集し、太陽光・風力・蓄電・石炭・ガス発電などの資産単位で算出した。これにより、企業の戦略的転換を比較・可視化できる「Company Transition Capex Tool」を公開。過去10年間にわたる約7万件の取引を分析し、5.3テラワット分の電源容量と5兆2,600億ドル規模の投資動向をカバーしている。
今回の拡張は、ブルームバーグが気候関連リスクの可視化と投資判断の高度化を目指す取り組みの一環であり、投資家が持続可能なリターンを確保するための重要な基盤となる。
(原文)Bloomberg Expands Analytics to Help Investors Evaluate Transition Risk and Opportunity Amid the Rise of Low Carbon Technologies
(日本語参考訳)ブルームバーグは、低炭素技術の台頭の中で、投資家が移行リスクと機会を評価できるよう分析機能を拡張しました。
















