
10月7日、国際標準化機構(ISO)は、自組織年次総会「ISO AM25」にて、企業による生物多様性への対応を支援する世界初の国際規格「ISO 17298」を発表した。同規格は、企業が自社の生物多様性に対する影響・依存・リスク・機会を評価し、戦略やガバナンスへ統合するための実践的かつ拡張可能な枠組みを提供するもので、自然資本への関心が高まる中、統一的なガイドラインの整備が遅れていた現状に対応する。
ISOによれば、生物多様性の損失は企業にとっても、サプライチェーンの混乱やレピュテーションリスク、規制対応コスト増など重大な経営課題となる。一方で、生物多様性への取り組みを進めることで、サステナブルファイナンスの獲得や市場での信頼醸成にもつながるとし、同規格はESG情報開示の枠組み「TNFD」や既存のISO 14001(環境)、ISO 26000(社会的責任)などとの互換性も確保している。
ISO 17298は、中小企業から大企業、自治体まで幅広く活用可能で、信頼性ある比較可能なデータの整備を支援する。開発には60カ国以上の専門家が関与し、TC331(生物多様性技術委員会)により策定された。今後は用語標準や「生物多様性ネットゲイン(純増)」に関する追加規格の策定も予定されており、企業の“自然関連対応力”を問う時代への備えとして、国際的な普及が期待される。
(関連オリジナル記事)TNFD開示を効果的に進めるには:投資家のニーズと開示のポイント
(原文)The world’s first International Standard dedicated to helping organizations take action on biodiversity launched today in Rwanda
(日本語参考訳)生物多様性に関する組織の行動を支援するための世界初の国際規格がルワンダで発表