DHLとヘンケル、持続可能な海上燃料導入でGHG排出を大幅削減へ

9月17日、独貨物輸送会社DHLグローバルフォワーディングとドイツの化学メーカー、ヘンケルは、長年続くサステナビリティ協業をさらに拡大し、海上輸送の脱炭素化を加速させると発表した。

両社はこれまで輸送モードの最適化や貨物統合などを通じて温室効果ガス排出削減に取り組んできたが、2025年からはヘンケルの海上輸送貨物の大部分において、持続可能な海上燃料(Sustainable Marine Fuel=SMF)を利用する新段階に入った。

この取り組みは、DHLのGoGreen Plusサービスを通じて約9,000TEU(20フィートコンテナ約9,000個分)の貨物を対象に実施される。SMF導入により、ウェル・トゥ・ウェイク(燃料供給から燃焼までの全過程)で約4,700トンのCO2を削減でき、従来の海上燃料と比べて主要航路で約85%のGHG削減効果が見込まれる。削減量は独立認証機関SGSによって検証される予定である。

DHLグローバルフォワーディングはBook & Claim方式を活用し、ネットワーク内で化石燃料を持続可能燃料に置き換え、その環境便益をヘンケルに配分する。この方式により、実際に輸送される船舶が持続可能燃料を使用していなくても、環境効果を顧客に割り当てることが可能となる。

両社は2024年に一部貨物でSMFの試験運用を行い、その成果を受けて2025年には大幅に規模を拡大した。大半の出荷は欧州発であり、今回の取り組みはサステナブルな輸送ソリューションへの需要拡大を示す強いシグナルとなる。DHLグローバルフォワーディングとヘンケルは、SMFの大規模利用を通じて持続可能燃料市場の強化と供給制約の克服に貢献し、サプライチェーンの脱炭素化をさらに前進させる構えである。

(原文)DHL cooperates with Henkel to enhance the use of Sustainable Marine Fuel

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