カーボンクレジット市場の分断解消へ、CDOPが初の共通データモデルを発表 

9月23日、ニューヨークで開催中の「クライメートウィークNYC(Climate Week NYC)」において、カーボン市場関係者による国際的な連合体が「Carbon Data Open Protocol(CDOP)」バージョン1.0を公開した。イソメトリック、ヴェラ、サウスポール、キタなど37の団体が採用を表明し、カーボンクレジット市場の標準化を進める。

CDOPは、プロジェクトの所在地や詳細、手法などを統一的に記述するオープンソースのデータスキーマであり、既存の数十に及ぶ非互換データ形式による市場の分断を解消することを目的とする。G20主導の「Common Carbon Credit Data Model(CCCDM)」や、CAD Trust、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の取り組みと整合しつつ発展させた。

今回のバージョン1.0は、所在地・プロジェクト詳細・開発手法・開示・発行の5つの基礎カテゴリに標準定義を設け、発行前段階からの統一を実現した。CDOPの技術ワーキンググループは市場参加者から提出された15以上のスキーマを分析し、1,600超のデータ項目を整理・統合。単純かつ実用的な構造として試験運用も完了している。

特徴は公共財としてのオープン性にあり、スキーマや技術仕様、ガイドラインは無償公開される。これにより、レジストリや取引所、開発者、投資家が共通基盤に基づいてデータを扱えるようになり、市場の透明性と信頼性が高まる。

S&Pグローバル、シルヴェラ、RMI、GCMUなどが共同議長を務めるこの連合体には、50を超える企業・非営利団体・公的機関が参加しており、今後は発行後を含む全ライフサイクルに対応した詳細な標準化を進める予定である。

(原文)Carbon Data Open Protocol (CDOP) Coalition Unveils Open-Source Data Model at Climate Week NYC to Facilitate and Scale Carbon Markets
(日本語参考訳)カーボンデータオープンプロトコル(CDOP)連合が、気候変動週間ニューヨークで炭素市場の促進と拡大を目的としたオープンソースデータモデルを発表

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