Mars、バリューチェーン全体で再エネ活用へ―契約で排出量10%削減目指す

9月11日、米食品大手のマースは、新たな脱炭素戦略「Renewable Acceleration」の一環として、再生可能エネルギー事業者エネル・ノースアメリカと初の電力購入契約(PPA)を締結した。これにより、自社工場や物流だけでなく、原料生産農場から消費者による使用電力に至るまで、バリューチェーン全体の電力需要を再生可能エネルギーで賄うことを目指す。

同戦略により、マースは2030年までに総カーボンフットプリントの約10%に相当する300万トンの排出量削減を見込んでいる。初期契約では、テキサス州に建設されるエネルの太陽光発電所3か所の電力を全量に買い取り、年間1.8TWh(約70万トンのCO2換算)を供給する計画だ。発電所では、草地管理に羊の放牧を活用する「ソーラーグレージング」が導入され、持続可能な農電併用モデルとして注目されている。

マースのサステナビリティ担当グローバルVP、ケビン・ラビノヴィッチは、「バリューチェーン全体の電力需要を再エネ市場に統合することで、従来の手法では達成できなかった規模とスピードで脱炭素化を実現できる」と述べ、他社にも参加を呼びかけた。

マースの年間再エネ電力使用量は約2TWhだが、サプライヤーや消費者まで含めたバリューチェーン全体では8〜9TWhに上る。今回の契約はEnelにとっても過去最大規模のPPAとなり、今後さらに世界規模での契約拡大が計画されている。

(原文)Mars Partners with Clean Electricity Suppliers for Innovative Strategy to Cover Full Value Chain with Renewables
(日本語参考訳)マース、クリーン電力供給業者と提携し、再生可能エネルギーでバリューチェーン全体をカバーする革新的戦略を展開

関連記事

おすすめ記事

  1. 【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    2025-9-11

    【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    気候変動や自然資本など、環境領域に関する開示が進みつつある中、次なるテーマは「社会」の領域。TIS…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…

ピックアップ記事

  1. 【PR】11/27   CSAを通じたESG活動の進化 ~評価視点と企業価値向上の実践アプローチ

    2025-11-11

    【PR】11/27 CSAを通じたESG活動の進化 ~評価視点と企業価値向上の実践アプローチ

    S&Pグローバル x ANAホールディングス 対談 概要 テーマ:C…
  2. 2025-11-6

    CDPとTNFD、2025年質問票の対応マッピングを公開

    10月22日、CDPとTNFDは、CDP 2025年版企業質問票とTNFD開示推奨項目・指標との対…
  3. 2025-11-6

    ISSB、国際的なサステナビリティ開示の「グローバル・パスポート」構想を発表

    10月30日、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)は、ロンドンで開催された「IFRSサステナ…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る