
8月26日、カナダの気候テック企業「プラネタリー」はカーボン除去の先進的な購入連合「フロンティア」と総額3,130万ドル(約46億円)のオフテイク契約(炭素除去購入契約)を締結したと発表した。これにより、2026年から2030年にかけて11万5,000トン以上のC02を海洋アルカリ性強化(OAE)技術によって除去する計画だ。気候変動対策に向け、海洋を活用した新たな取り組みが大きな節目を迎えたことになる。
プラネタリーは今年、XPRIZEの受賞に加え、世界初となる第三者機関によるOAEクレジットの検証を実現したばかり。今回の契約は、同社にとって初の大規模かつ複数年にわたる炭素除去の商用案件となり、科学的な裏付けに基づく海洋ベースの気候解決策の可能性を大きく広げるものとされる。
OAEは、海水にアルカリ性物質を加えることでCO2を吸収しやすくする技術で、将来的には年間数十億トン規模の炭素除去が可能になると期待されている。また、コストを1トン当たり100ドル未満に抑えられる道筋も見えており、実用化に向け注目度が高まっている。さらに、海洋酸性化の緩和や貝類・漁業資源への好影響など副次的な利点も指摘されている。
OAEのマイク・ケランドCEOは「今回の契約は、OAEが小規模実証を超えて安全かつ効果的にCO2を除去できることを示す絶好の機会だ。コスト面や拡張性において、最も有力なカーボン除去手段の一つとなる可能性がある」とコメントした。
今回の取り組みにはグーグルやストライプといった大手企業に加え、先住民組織「コンフェデラシー・オブ・メインランド・ミクマック」など多様なパートナーが参画しており、地域社会との協働姿勢も評価されている。カナダのジュリー・ダブルシン環境・気候変動担当大臣は「この技術は地球規模でCO₂を削減しつつ海洋生態系にも利益をもたらす可能性がある」と期待を寄せた。
プラネタリーは、カナダ・ノバスコシア州で進めてきた「タフツ・コーブ」での実証実験を基盤とし、2026年からの供給開始に向けて規模拡大を図る方針である。同社は「海洋による炭素除去が科学的に確かなだけでなく、実践的かつ責任ある形で拡大できることを証明する」としている。
(原文)Frontier Commits $31M to Planetary to Scale Ocean Carbon Removal
(日本語参考訳)フロンティア、海洋炭素除去の規模拡大のためプラネタリーに3100万ドルを投資