
8月12日、北欧最大手の金融機関のひとつであるダンスケ銀行は、化石燃料分野における新たな投資手法の実施を完了したと発表した。同行の資産運用部門「Danske Invest」および年金保険子会社「Danica」における全投資商品に適用され、気候移行計画を持つ企業を重視する選定基準が導入された。
この新手法は2024年2月に発表されていたもので、持続可能社会への移行を支援し、自社の事業を将来に適応させる姿勢を持つ企業への投資を優先する内容となっている。同行はこれにより、投資対象とする化石燃料関連企業を約2,000社から約270社に絞り込み、ポートフォリオを大きく再編した。
責任投資部門トップのエリック・エリアソン氏は「新たな投資アプローチは顧客の大多数の意向に沿うものであり、競争力あるリターンを責任ある形で追求する姿勢を鮮明にする」と述べ、投資方針の進化を強調した。一方で、一部のファンドは新手法の対象外となり、また化石燃料企業を一切除外するファンドも併存する。
資産運用部門CIOのトーマス・オトボ氏は「世界経済とエネルギー供給の現実を反映するため、化石燃料企業への投資を完全に排除することはしない。ただし、長期的な顧客利益を守るため、より選択的な投資姿勢を取ることを決意した」と説明。同行の保有全体に占める化石燃料関連の割合は依然として小さいため、全ポートフォリオへの影響は限定的だとした。
投資基準の評価方法
同行が導入した「ネットゼロ移行モデル」は、独立機関「Transition Pathway Initiative(TPI)」の手法と企業の気候目標をもとに構築。
- マネジメント評価:排出管理、低炭素移行への統合度、開示体制、取締役会の関与などを確認。
- 排出実績評価:削減目標がパリ協定目標と整合しているかを検証。
これにより、現実的な移行計画を持つ企業とそうでない企業を区別する仕組みになっている。
ダンスケ銀行は、責任投資ポリシーと気候行動計画に基づき、今後も規制動向や社会の期待の変化に応じて投資戦略を柔軟に見直す方針を示している。
(原文)Danske Bank has implemented a new methodology for investing in fossil fuel companies across Danske Invest and Danica
(日本語参考訳)ダンスケ銀行は、ダンスケ・インベストとダニカを通じて化石燃料企業への投資に新たな手法を導入した。