
7月29日、英国大手銀行バークレイズは、2025年上半期のサステナビリティ投資家向けプレゼンテーションで、2023年以降のサステナブル・トランジションファイナンシャルへの促進活動の累計実績が2,200億ドルに達したと発表した。これは2030年末までに1兆ドルを動員するという同社目標の約2割に相当する。2025年前半だけで580億ドルを記録し、2024年通年の944億ドル、2023年の678億ドルを上回るペースとなっている。
内訳では、社会分野向けが1,070億ドルと約半分を占め、環境分野向けが745億ドル、サステナビリティ・リンク型取引が308億ドル、移行活動・技術向けが80億ドルとなった。
排出削減の進捗については、上流エネルギー分野で2020年比45%減と2030年目標(40%減)をすでに達成した。発電(30%減)、鉄鋼(23%減)も順調に進んでいる。一方、自動車製造は2022年比で1%増加、航空は2023年比で横ばいと、目標との差が課題となっている。
同行は2022年末に、2023年から2030年末までにサステナブル・トランジション・ファイナンスで1兆ドルを動員する方針を掲げ、2024年にはエネルギートランジション専門チームやサステナブル・バンキング部門を新設した。ネット・ゼロ銀行を2050年までに実現するという長期目標も再確認した。
自社の温室効果ガス排出(スコープ1・2)は2018年比で95%削減し、目標の90%減を前倒し達成した。再生可能電力の調達も100%を維持している。
バークレイズは「一部セクターでの遅れはあるものの、全体として移行金融と排出削減の両面で着実に進展している」とし、今後も顧客の低炭素移行支援と気候関連リスク管理を強化する方針だ。