食品産業の持続可能性へ 新組織「食サス」設立。農水省、令和7年度から官民連携を強化

農林水産省は、食品産業が直面する環境や人権、栄養といったサステナビリティ(持続可能性)課題の解決を加速させるため、令和7年度から新たな官民連携組織「食料システムサステナビリティ課題解決プラットフォーム(通称:食サス)」を設立すると発表した。既存のプラットフォームを発展的に解消し、より緊密な連携のもとで業界全体の課題に取り組む。

背景には、昨年6月に施行された改正食料・農業・農村基本法がある。同法では、生産から消費までの各段階の関係者が連携する「食料システム」全体の持続可能性を高めることが明記された。食品産業には、地球温暖化に対応する脱炭素の取り組みや、サプライチェーンにおける人権尊重、健康に配慮した食品提供など、投資家を含む社会からの要請が年々高まっている。

加えて、地方の食品産業は人口減少による市場縮小や労働力不足といった経営課題を抱えながら、サステナビリティへの対応も迫られている。こうした複雑な課題は、個々の企業の努力だけでは解決が難しく、サプライチェーン全体での連携が不可欠となっていた。

新設される「食サス」は、こうした状況に対応するための司令塔となる。これまでの「フードサプライチェーン官民連携プラットフォーム(FSPPP)」の活動を引き継ぎつつ、サステナビリティ課題をより深掘りし、官民や企業間の議論を促進。具体的な解決策の検討や実行を後押しする。

農水省は、新プラットフォームを通じて食料の安定供給と持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化していく方針だ。

(原文)食料システムサステナビリティ課題解決プラットフォーム

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