
5月12日、公正取引委員会は、飲食料品の製造から販売・消費に至る取引実態の調査を実施し、その結果を発表した。背景として、フードサプライチェーンにおける不公正な商慣行が食品ロスを助長し、経済的・環境的に深刻な影響を与えていることが挙げられる。食品ロスは廃棄物処理コストを押し上げ、製造・卸・小売業者に不要な負担を生じさせるとともに、最終的には税金を通じて国民にも負担を及ぼす社会的課題となっている。
今回の調査では、Webアンケート、情報提供フォーム、関係事業者へのヒアリングを通じ、問題となりうる5つの商慣行を対象に実態を把握。それは「3分の1ルール」「短いリードタイム」「日付逆転品の納品禁止」「日付混合品の納品禁止」「欠品ペナルティ」である。これらの慣行が、納入業者に対し不当な不利益を強いているケースが確認されており、優越的地位の濫用に該当する可能性があるとされた。
たとえば、3分の1ルールを理由に製造業者との協議なしに納期を一方的に設定したり、短いリードタイムによって見込み生産を強いたうえで未発注分の廃棄費用を製造業者に負担させるなどの事例が報告されている。また、交通事情等によりやむなく発生した日付逆転品を受け入れず、廃棄コストを押しつける事例や、日付混合品の納品拒否、欠品に対する過大なペナルティも問題視された。
公正取引委員会は調査結果を公表し、関係省庁と連携のうえ業界への周知を進めるとともに、独占禁止法に抵触するおそれのある行為については厳正に対処する方針を示している。食品ロス削減と持続可能な流通の実現に向け、取引の適正化が強く求められている。