金融庁と日本銀行、気候関連リスクのシナリオ分析を年度内実施へ

5月10日、日本銀行と金融庁は第2回の気候関連リスクに係る共通シナリオに基づくシナリオ分析(第2回エクササイズ)の2024年度の実施に向けて準備を進めていると発表した。 シナリオ分析の手法・枠組の継続的な改善を目的とし、前回同様3メガバンクと連携する。

両者は2021年度に、3メガバンクと連携し共通シナリオを用いたシナリオ分析の試行的取組(パイロットエクササイズ)を実施し、2022年8月に分析結果や課題を公表した。パイロットエクササイズでは2021年3月末時点の与信を対象に、気候関連リスクが信用リスクを通じて銀行の財務に与える影響の分析を行った。

パイロットエクササイズは、分析対象期間を移行リスクについては2050年、物理的リスクについては2100年までとした長期のシナリオ分析であった。気候関連金融リスクは中長期に亘って顕在化するとみられるが、政策変更、技術や資源の制約、またそれらを受けた企業・家計の行動変容などによって、同リスクに短期的に大きな変動が生じる可能性も考えられるため、第2回エクササイズでは分析対象期間を比較的短い時間軸とする予定。これにより銀行のリスク管理に活かしやすい結果が得られる可能性があると考えられる。

また、第2回エクササイズでは、よりインパクトの大きい貸出への影響とその評価に焦点を当てるとともに、試行的に、シナリオ分析の枠組で、金融機関に帰属する投融資先の排出量(ファイナンスド・エミッション)の削減目標の達成に向けた取組やその貸出等のポートフォリオ運営への影響を考察することも検討していると発表した。

【参照ページ】
(原文)気候関連シナリオ分析~銀行セクターにおける今後の取り組み~

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