EU銀行規制当局、銀行のESG・気候変動リスク管理要件案を発表

1月18日、EUの銀行監督機関である欧州銀行監督機構(EBA)は、EUの気候ニュートラル経済への移行から生じるリスクに対処するための計画策定を含め、銀行がESGリスクを特定、測定、管理、監視するための要件を定めた新たなガイドライン案に関するコンサルテーションを開始すると発表した。

提案されているガイドラインに基づく銀行の要件には、ESGリスクの定期的な重要性評価の実施、エクスポージャーベース、ポートフォリオベース、シナリオベースのアプローチを含むデータプロセスや手法によるリスク識別能力の確保、短期・中期・長期の時間軸で、信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスク、風評リスク、流動性リスク、ビジネスモデルリスク、集中リスクなどのリスクカテゴリー全体への影響を考慮した、通常のリスク管理フレームワークへのESGリスクの統合などが含まれる。

また、本ガイドラインは、気候変動やESG要因に起因する金融リスク、規制目標から生じるリスクに対応する、資本要求指令に基づく(CRD)移行計画の策定を金融機関に義務付けるものでもある。

EBAによると、新ガイドラインはEBAのサステナブル・ファイナンスに関するロードマップに沿って策定された。2022年後半に発表された本ロードマップは、リスク管理と監督、エクスポージャーの取り扱い、ESGリスクとサステナブル・ファイナンスのモニタリングを含む主要な目標を通じて、サステナブル・ファイナンスの分野、銀行業務の枠組みにおけるESGリスク考慮の統合の支援とモニタリングにおけるEBAの優先事項と計画を示している。

EBAの提案は、銀行に特定のサステナビリティ目標や移行経路との整合性を求めるのではなく、ESGリスクが確実に評価され、戦略や政策に組み込まれることに重点を置いている。

プルデンシャル・プランを策定する目的は、「金融機関に炭素集約的セクターからの撤退や売却を強制することではない」と明記されているが、ガイドラインは、関連するリスクと機会、移行計画、関与に焦点を当てることを含め、「金融機関が持続可能な移行によってもたらされる技術、ビジネス、行動の変化を積極的に反映するよう刺激する」ことを目的としている。

EBAのコンサルテーションは4月18日まで実施される予定である。

【参照ページ】
(原文)The EBA consults on Guidelines on the management of ESG risks
(日本語参考訳)EU銀行規制当局、銀行のESG・気候変動リスク管理要件案を発表

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