5月17日、航空宇宙大手のBoeingは、航空が気候に与える影響を解決するための技術やソリューションの評価を目的としたデータモデリングツール「Cascade」の一般公開を発表した。
航空業界は、温室効果ガス(GHG)排出の重要な原因として注目されており、世界の排出量の2~3%を占めている。同業界のフットプリントの大部分は燃料使用に由来する。
航空機産業の気候変動への影響に対処するための取り組みとして、航空機の効率向上、持続可能な航空燃料(SAF)の開発、電気や水素を利用した低炭素またはゼロ炭素推進システムを利用した航空機の開発などがあるが、これらの多くは開発の初期段階にとどまっている。
Boeingが7月に開催された2022年ファーンボロー航空ショーで発表した「Cascade」は、航空用代替エネルギー源の生産から流通、使用までのフルライフ・インパクトを調査・定量化するとともに、機体更新、運航効率、将来の航空機を含む施策の効果をモデル化するなど、航空の脱炭素化を目指すさまざまなソリューションの効果を明らかにする。
公開と同時に、Boeingは、カスケードが作成した評価から得られた重要な結果をいくつか発表した。その中には、現在の航空機に使用できることから、今後数年間はSAFが二酸化炭素排出量の削減に最も貢献することが明らかになった。また、電気や水素を動力源とする航空機は、開発期間が長く、空港やパイプラインなどの新しいインフラを導入する必要があるため、近中期的な影響は限定的であるとの分析結果も示された。
【参照ページ】
(原文)Boeing Publicly Launches “Cascade” to Support Aviation’s Net Zero Goal