
10月22日、ノルウェー政府系ファンドを運用するノルウェー銀行投資運用(NBIM)は、「2030年気候行動計画」を発表した。
これは、2025年に策定した前回の計画を基盤に、2050年までにネットゼロ排出を実現するための長期方針を示したものである。新計画では、投資目標と気候目標の連動強化、投資先企業への移行計画の要請、気候および自然関連開示基準の推進、自然資本・適応・物理的リスクへの注力、AIと分析を活用したリスク管理高度化の5点を主要施策として掲げている。
NBIMは、気候変動を「金融リスク」と位置づけ、20年にわたりリスク管理を発展させてきた。特に、投資先企業との対話を中心としたアクティブオーナーシップを重視しており、これまでに約1,000社との気候関連対話を実施してきたという。同計画では、企業のネットゼロ移行を支援・監督することで、ポートフォリオ全体の気候リスク低減とリターン向上の両立を目指す。
また、気候変動による実体経済への影響を踏まえ、物理的リスクと適応戦略を更新。森林・湿地・海洋などの自然生態系が果たす炭素吸収機能と、その喪失による影響を統合的に評価する姿勢も打ち出した。
2025年行動計画の成果として、ポートフォリオ企業のうち科学的根拠に基づくネットゼロ目標を設定した企業の割合が57%から76%に上昇。ファンドの加重平均炭素強度も11%低下し、再生可能エネルギー関連投資は842億ノルウェークローネ(約1.3兆円)に拡大したという。
NBIMは、今後もグローバルな開示基準の推進やAIによる気候分析の深化を通じ、気候変動がもたらす財務リスクへの対応をさらに強化していく方針である。
(原文)2030 Climate action plan
(日本語参考訳)2030年気候行動計画
















