
10月29日、Net Zero Asset Managers initiative(NZAM)は、見直し案(Next Chapter)を公表し「2050年までにネットゼロ」という目標を削除した。設立当初は、パリ協定に基づく国際的なネットゼロ目標(1.5℃目標の実現には2050年カーボンニュートラルが必要とされる)と歩調を合わせる形で設定されていたものだ。
NZAM事務局やによれば、加盟運用会社は欧米のみならず、新興国・途上国市場でも事業を展開しており、地域によって気候政策や排出削減ロードマップの進度が異なるため、「2050年一律」は現実的でないと判断したことがあるようだ。一方、 (特に米国では)「2050年ネットゼロ」という目標が政治的・イデオロギー的に利用されるリスクが高まり、参加企業が攻撃の対象になるケースも生じているとの一部報道もあり、進捗と実践を重視する枠組みへ移行したと考えられる。
なお、NZAMは「2050年削除=野心の後退」ではないとし、改定文書では、依然としてパリ協定の温度目標(1.5℃〜2℃)との整合を明確に掲げ、「科学的根拠に基づく削減経路を支持する」としている。
この変更は、加盟する資産運用会社に対し「自社で現実的かつ科学的に整合した目標を設計する」という方向性を示すものであると言える。
一律の2050年ではなく、自社ポートフォリオ構成・地域戦略・顧客要求に応じたスケジュールを設定し、その根拠と整合性を開示し、定期的に進捗をレビューする、自立的な管理への移行が求められるだろう。今後は、目標(時間)よりも“進捗の透明性”の重要性が増すだろう。
(原文)NZAM: Ready for its next chapter
(日本語参考訳)NZAM:次の章に向けて準備完了
気候対応に関連するオリジナル解説:【2026年本格適用】CBAM(炭素国境調整メカニズム)への実務対応ガイド
















