
8月5日、PC世界大手のレノボは企業向けに提供するIT機器のサブスクリプションサービス(DaaS)に、環境配慮の側面を強化した新プランを追加すると発表した。新サービス「TruScale DaaS for Sustainability」は、IT機器の導入から廃棄までのライフサイクル全体で二酸化炭素(CO₂)排出量を管理・削減し、企業のコスト削減と脱炭素経営の両立を支援する。
企業の間で環境・社会・ガバナンス(ESG)を重視する経営への関心が高まる中、IT部門においても、使用するパソコンやモニターなどの機器が環境に与える負荷をいかに低減するかが課題となっている。レノボの新サービスは、こうした需要に応えるものだ。
このサービスは、月額課金でIT機器の調達から管理、更新までを一括で提供する既存の「TruScale DaaS」を基盤とする。特徴的なのは、企業の持続可能性目標に合わせて機能を柔軟に組み合わせられる点だ。具体的には、
- 排出量の可視化: 各機器のCO₂排出量をリアルタイムで把握できるポータルを提供し、ESG報告などに活用できる。
- 再生品の活用: 新品より安価で環境負荷も低い認定再生品を導入する選択肢を用意。
- 排出量の相殺: 機器の製造から廃棄までで生じるCO₂を、検証済みの環境プロジェクトを通じて相殺(オフセット)する。
- 資産回収: 機器の廃棄時に、データ消去を安全に行い、部品のリサイクルや再利用を通じて残存価値を回収する。
レノボによると、一部の導入企業ではデバイス関連のITコストを最大35%削減した実績があるという。近年の業界調査では、62%の企業がコスト削減を動機に持続可能性へ投資しているとされており、経済的なメリットが環境投資を後押しする構図がうかがえる。
導入事例として、英国のコベントリー大学グループは同サービスを利用し、223トンのCO₂を相殺。IT部門の作業時間を週40時間削減するなど、業務効率化にも繋がったという。同大学のイアン・ダン学長は「技術資産を効率的に管理し、炭素削減目標を達成するために必要な柔軟性を得られた」と評価している。
IT機器の分野では「所有から利用へ」の流れが加速しており、環境負荷の低減は世界的な潮流となっている。レノボは新サービスを通じて、企業のIT戦略における「循環型経済(サーキュラーエコノミー)」への移行を促し、市場での競争力を高めたい考えだ。
(原文)Lenovo Launches Modular DaaS for Sustainability to Manage Carbon, Reduce IT Costs, and Boost ROI
(日本語参考訳)レノボ、炭素管理、ITコスト削減、ROI向上のためのサステナビリティ向けモジュール型DaaSを発表