GRI、気候変動・自然関連情報開示の新講座発表 企業の透明性向上を支援

7月22日、サステナビリティ報告の国際基準を策定するGRI(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)は企業の気候変動および自然関連の情報開示能力を強化するため、2つの新しいオンライン講座を「GRIアカデミー」で開講したと発表した。深刻化する気候・自然危機を背景に、企業の透明性向上を求める社会的な要請に応える狙いがある。

気温上昇、生物多様性の損失、それに伴う社会・経済的リスクが増大する中、企業が自らの事業活動が環境や社会に与える影響を正確に把握し、説明責任を果たすことの重要性がこれまでになく高まっている。新講座は、こうした課題に取り組むサステナビリティ実務者の専門知識とスキル向上を支援するために開発された。

新講座の概要は以下の通り。

  • 気候変動報告:GRI基準とIFRS基準の連携
    GRIの気候変動基準とIFRSサステナビリティ開示基準の連携に焦点を当てる。気候関連リスクの報告だけでなく、人権や生物多様性といった側面も含む、より包括的な気候変動報告への移行の必要性を解説。温室効果ガス排出量、移行計画、適応戦略に関する情報開示について学ぶ。
  • 自然関連報告ガイド:GRIとTNFDの相互運用性
    自然関連の情報開示の重要性と、GRI基準と自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言を併用することで、高まる透明性への要求に企業がどう応えるかを解説。両フレームワークの報告要件を連携させ、生物多様性に関する情報開示を簡素化・統一するための新たな「相互運用性マッピングツール」についても実践的に説明する。

GRIの教育部門ディレクターであるポール・ブルックホフは、「サステナビリティや企業報告の専門家が時代の先を行き、キャリアを向上させることを支援するため、この2つの新講座をGRIアカデミーに加えられることを誇りに思う。これらは、効果的な気候・自然報告を効率化するために不可欠な知識とスキルを構築するよう設計されており、世界的な課題が深刻化する中で高まる透明性への要求に企業が応える一助となるだろう」とコメントした。

GRIアカデミーは、今回発表された講座のほかにも、オンラインや世界各地での講師主導型クラスを通じて、30種類以上の多様なコースを提供している。

(原文)Building climate and nature reporting expertise to drive corporate transparency
(日本語参考訳)企業の透明性を高めるために気候と自然に関する報告の専門知識を構築する

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る