Spark e-Fuels、需要対応型技術でe-燃料のコスト障壁を突破

2月12日、ベルリン発のスタートアップSpark e-Fuelsが、持続可能な航空燃料(SAF)の課題解決に向けた革新的なe-燃料技術を発表した。同社は€230万のプレシード資金調達ラウンドを完了したことを発表し、初のe-燃料パイロットプラントの建設と技術開発・商業化の加速に取り組む姿勢を明らかにした。このラウンドはNucleus Capitalをリードインベスターとし、Zero Carbon Capital、IBB Ventures、Chemovator、Voyagers.io、1.5° Venturesが参加した。また、ShellやLufthansa、BP、Siemens Energyなどの業界経験を持つビジネスエンジェルも支援に加わった。

Sparkの技術は、風力や太陽光など再生可能エネルギーの断続的な供給という従来の課題を克服する画期的な生産プロセスに基づいている。従来のe-燃料生産では、安定した電力と水素の供給が必要とされるが、Sparkの特許技術はこれを日々の供給変動や季節的な変動に柔軟に対応させることで、コストを削減しつつ高い生産効率を実現している。さらに、高価な水素貯蔵設備や電力網インフラへの依存を大幅に低減することで、e-燃料を従来の化石燃料ケロシンに代わる現実的な選択肢にしている。

航空業界においてSAFの需要が急増する中、Sparkの技術はネットゼロ達成の鍵となるだけでなく、化学産業全体の脱炭素化にも貢献する可能性を秘めている。化学産業は現在、鉄鋼に次ぐ温室効果ガス排出量の多い産業であり、電化への移行とエネルギー関連排出削減が喫緊の課題である。Sparkの需要対応型技術は、航空業界のみならず化学産業の目標達成を支援する上で重要な役割を果たすと期待されている。

近年、SAFへの投資額は約500億ドルに上り、業界全体の信頼が示されている。Sparkもこの市場で注目され、2024年には世界経済フォーラム主催の「UpLink Sustainable Aviation Challenge」を受賞した。同賞は、航空業界の脱炭素化を推進する革新的技術を表彰するものであり、Sparkの技術的優位性と将来性を改めて証明するものとなった。

今後もSparkは、再生可能エネルギーの活用を軸にした革新的なアプローチで、航空業界と化学産業の持続可能な未来を切り開いていく構えである。

【参照ページ】
(原文)Spark e-Fuels Tackles the E-Fuels Cost Barrier with Demand-Responsive Technology
(日本語参考訳)スパークeフューエルズ、需要対応技術でE燃料コストの壁に挑む

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