11月26日、鉄鋼メーカーのArcelorMittalは、ヨーロッパにおける脱炭素化計画の最新情報を発表し、低炭素鋼生産を目指すプロジェクトへの投資決定を延期することを示した。同社は以前、ヨーロッパ事業の一部で「水素対応型」DRI-EAF施設を導入し、高炉を置き換えることで排出削減を図る計画を発表していた。この計画は、各ホスト国が欧州委員会の承認を得て資金支援を提供することを前提としていた。
しかしながら、ヨーロッパの政策、エネルギー、市場環境は期待された方向には進展していない。特に、グリーン水素は依然として競争力のある燃料源として成長が遅く、天然ガスを使用したDRI生産も競争力を欠いている。また、炭素国境調整メカニズム(CBAM,Carbon Border Adjustment Mechanism)の弱点、貿易保護措置の不足、中国の過剰生産による輸入増加への対応、低炭素排出鋼材に対するプレミアム価格への顧客の受容性の欠如が問題となっている。
最終的な投資決定の遅延は、同社の低炭素排出鋼材の顧客需要対応能力には影響しないとしている。同社は、2030年の目標値の見直しについて、次回のClimate Action Report 3で発表する予定である。2018年以降、ヨーロッパ事業での絶対排出量は28.2%削減されているが、これは主に需要減少による生産量低下が原因である。
長期的には、CCUS(炭素回収・利用・貯蔵)を含む全ての脱炭素技術への取り組みを継続する方針である。同社はすでにベルギーのGent工場で産業規模のCCU施設を運用しており、さらに2つのパイロットプロジェクトを進行中である。
【参照ページ】
(原文)ArcelorMittal provides update on its European decarbonization plans
(日本語参考訳)アルセロール・ミッタルが欧州の脱炭素化計画の最新情報を発表