7月5日 、欧州証券市場監督局(ESMA)は、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)の初回適用に関する新たなパブリックステートメントを発表した。本文書は、企業がEUの企業サステナビリティ報告指令(CSRD)基づく新たなサステナビリティ報告及び監督要件に備えられるよう支援することを目的としている。
新たな報告書では以下5つの分野が強調されている。
- 質の高いサステナビリティ報告を促進できるガバナンス体制と内部統制の確立
- ダブルマテリアリティ評価を適切に設計・実施し、それらについての透明性の確保
- 規制適用初年度の経過措置に関する透明性の確保
- デジタル化に対応したサステナビリティ報告書の作成
- 財務情報とサステナビリティ情報の連結性の確保
本報告書内のガイダンスには、ESRSの詳細な報告要件を満たし、ダブルマテリアリティ評価を実施するためには、「データ収集と分析のシステム、内部統制を注意深く構成する」ように発行会社に求めるものがある。
欧州委員会と欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)は、ESRSの実施に関するガイダンスと継続的なトレーニングを提供している。ESMAは発行体の管理・経営・監督機関のメンバーに対し、ESRSを遵守する際にこれらガイダンスを慎重に考慮するよう求めている。
ESMAは質の高いサステナビリティ報告がグリーンウォッシングに対処し、持続可能な経済への移行を支援するために不可欠であると強調している。また、発行者だけでなく、監査人やその他のIASPと協力し、サステナビリティ報告の質の継続的な改善を支援する予定である。
ESMAは、2024年後半に次の報告期間における欧州共通執行優先事項を公表する予定である。これにはサステナビリティ報告に関する事項も含まれる。
本パブリック・ステートメントは、欧州の大規模発行体がESRSを初めて適用する際の重要な指針となる。発行体は、ESMAのガイダンスを慎重に考慮し、高品質なサステナビリティ報告を実現するための準備を進めることが求められる。
(原文)Public Statement on the first application of the European Sustainability Reporting Standards (ESRS)