6月28日、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は、ロンドン気候行動ウィーク(LCAW)において、1月以降、企業報告においてTNFDを採用した割合が30%増加したことを発表した。また、企業や銀行などがどうやって情報を報告するかを手助けするために、セクター別の報告のに関するガイダンスが提案された。
今回発表された96社の追加により、TNFDの勧告に基づく開示を既に約束している企業の総数は416社となった。これらの企業は、50を超える国・地域などから集まっており、時価総額は6兆米ドル(約965兆円)を超えた。さらに、グローバルなシステム上重要な銀行(GSIB)の25%を含む、運用資産15.9兆米ドル(約2,559兆円)に相当する114の金融機関がアドプターとして登録されている。
新たに採用された企業には、LGIM、ジェネレーション・インベストメント・マネジメント、三菱UFJアセットマネジメントや、ボルボ、リコー、中国蒙牛乳業、アクシオナなどが含まれる。これらの企業は、2024年度(またはそれ以前)または2025年度の成果に関する年次企業報告の一部として、TNFDに沿った開示の公表を開始する意向を示している。2023会計年度の成果に基づくTNFD開示報告書は、タスクフォースの勧告発表から1年も経たないうちに、すでに市場に出回り始めている。
タスクフォースは、TNFDのナレッジ・パートナーや市場参加者との広範な協議を含む、1年半にわたる反復的な開発プロセスを経て、8つの実体経済セクターをカバーする最初の追加セクター・ガイダンスと、金融機関向けの追加ガイダンスを発表した。同セクター・ガイダンスには、2023年9月に発表されたTNFDの開示勧告に沿った、開示のためのセクター別の推奨指標が含まれている。さらに、バリューチェーン全体における自然関連問題の考慮に関する追加ガイダンスも発表された。
今回公表された追加セクター・ガイダンスは、以下の実体経済セクターを対象としている。
- 水産養殖
- バイオテクノロジーと医薬品
- 化学
- 電気事業と発電事業
- 食品と農業
- 林業・製紙
- 金属・鉱業
- 石油・ガス
金融機関向けの追加ガイダンスには、銀行、保険会社、資産運用会社、開発金融機関向けに、TNFDが推奨する開示と指標に関するガイダンスが含まれている。
バリューチェーンに関する追加ガイダンスでは、組織が上流と下流のバリューチェーンの分析にどのようにアプローチできるかを詳述している。同ガイダンスでは、TNFDのLEAPアプローチを適用する際に、自然関連事項の評価に課題を生じさせうるバリューチェーンの特徴と、組織がこれらの課題にどのようにアプローチできるかを概説している。
TNFDはまた、タスクフォースメンバーの更新を発表し、シティ・デベロプメンツ・リミテッド(CDL)が加わった。シンガポールに本社を置くCDLは、29の国と地域に163の拠点を持つ世界有数の不動産会社である。CDLは1月にTNFDの早期導入企業として発表され、TNFDに沿った開示報告書を世界で初めて公表した企業のひとつである。
【参照ページ】
(原文)TNFD adoption now over 400 organisations and new sector guidance released
(日本語参考訳)TNFDの採用が400団体を超え、新セクター・ガイダンスが発表される